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誕生ペシミズム11

2012.03.16 09:24|Novels
直接的な描写はありませんが、ニュアンス的にR指定でお願いします。
チビナスが痛いです。ご注意ください。

 ここは今でこそテーマパーク内包の観光島として成り立ち有名ではあるが、数年前までは名前も知られない島だった。
 島全体のテーマパークを維持するためには当然莫大な資金がいる。
 この島は元々何の名産もない寂れた島で、住民達は日々の暮らしを保って行くのも精一杯の状況だったが、とある日、莫大な資金提供を申し出た奴がいた。
 資金提供の条件は1年ごとに見目のいい女、もしくは男を差し出すこと。
 生活も困難で自分達が生きることに精一杯だった当時の島民、そして国家予算すら尽きかけていたこの島全土を統べていた王国の国王はその条件を呑んだんだ。
 別に金を得る代わりに、1人の人間を差し出したからと言って、その人間は死んだりするわけじゃない。
 資金提供を持ちかけた主・・・天竜人様のモノになれるんだから、それはそれで名誉なことだと強引な理由をつけてな。
 赤髪の男の口から出て来た天竜人と言う単語にゾロは眉を潜めた。
 聞いたことがある。政府を動かすことが出来る世界貴族の名称だ。
 勿論表向きには、背後に天竜人の存在があることなど内密にされていることだ。
 この国の国民は王が単に好色家で飽きやすい性格なのだと思っているし、正妃が早くに亡くなった寂しさを王自身が癒すためだろうとも思われている。
 王は祭りに託けて見目のいい人間を巫女選出と言う形で募った。
 巫女と名目をつけたのは、その人間がどんな形で返ってきても言い訳をつけやすかったからだろう。
 後宮に招く最大の理由は自分の妃として召し抱え遊び相手にするのと共に、王室内の災いを振り払うために神聖な位置に立つ巫女と言う存在を求め、巫女が1年経ってボロボロで帰ってきても、それは王室の災いを振り払うために戦ったのだと、オブラートに包んだ言い方で、内部で何が行われているかを一般国民にカモフラージュすることが出来るからだ。
 だが、年数を重ねるうちに島民には巫女に選ばれたものが、その後どうなるかと言うことを悟られ始めた。
 しかし、国民にも生活はある。
 既に観光島として島全体の大規模なテーマパークが打ち建てられ軌道に乗り始めていた時に、その資金を提供してくれている王の機嫌を損ねるわけにはいかなかった。
 まあ、その裏に世界貴族がついてるなんてことは今でも国民の誰もが知らないことだがな。
 だから、国民は薄々気付きながらも、巫女の制度を黙認した。巫女に選ばれたものは名誉な者なのだと祭り上げた。
 自分達の生活を守るためにだ。
 だが。自分達の身近なものが巫女に選ばれ、1年経って戻って来た時には散々な状態で戻ってくる。
 それに心を痛めた街の奴等は、ある1つの手段を設けた。
「散々な状態って言うのは何だ?」
 長い話を割ってゾロは敢えて訊ねてみた。
「それを聞くのかい?」
 予想はついたが、確認はちゃんとしておきたい。
 ゾロが頷けば、赤髪の男は海の方に視線を逸らした。
 いつの間にか祭りの中心地から外れた海の傍。街に下りた日にコックと回った場所の付近にまで歩いてきていた。
 この通りのメインだったのだろう水族館が今は潰されているためか、ここいらは人通りも少なく、点々と並ぶ施設自体もあまり機能していないようだ。
 汚れのこびり付いた、長く風雨に晒されたままのあのファンシーな時計がいい証拠だった。
 今の話の流れを聞いてしまったら、巫女に担ぎ上げられたコックをあのままにしておくわけにはいかないだろうが、どのみちあの人ゴミの中で騒ぎを起こすのは得策ではない。
 狙うなら、神輿が最終地点に辿り着き、コックがあの神輿から体を下ろす時。
 何より、今は状況の整理の方が必要だとゾロは判断して、どうやら事情に精通しているらしい赤髪の男に着いて来たに過ぎない。
 赤髪の男が一向に答えなかったので、心当たりをゾロは口にしてみた。
「抱き潰すのか?」
 さっきの情報屋の男がそう言うことを口にしていたので推測するのは容易かった。
「ああ、そうだ。1年かけて、毎日のように1人の人間を欲求の吐き出し口として使う。どんな目に合うのかは過去に巫女に選ばれたものを見れば直ぐに分かるだろうが・・・社会的に復帰出来なくなった者もいれば、自ら命を絶った者もいたと聞いた」
 いつの間にか閉鎖された水族館の前まで来ている。
 赤髪が扉についている刀傷に触れたようだった。
「だから、国民はこのテーマパークに遊びに来ている観光客の中から多少見目のいい子供を選んで、幼い頃から王への提供物として耐えることが出来る存在を作ろうと密かな教育を始めた」
 ギクリとする。
「子供の頃からそう言う知識を植え付けられていれば、後に献上物として捧げられても精神的に壊れる可能性は少なくなるだろうと考えたのと、国民の中から、自分達の近親者の中からは犠牲者を出したくないが故の最終手段を取り始めたんだ」
「ここに・・・囚われていたのか?」
 ゾロは有刺鉄線を巻かれ、鎖で更にその上から頑丈に封鎖された水族館の全貌を確認するよう見上げる。
「ああ、そうだな。あまり大がかりに子供を誘拐すれば変な噂が立つ。だから、周囲に悟られないように毎年一人ずつ・・・祭りの日に子供を選んでここの地下に閉じ込め・・・・・・」
 男は皆まで言わなかった。
 胸糞悪い話を聞いてしまった。
「だけど、この施設は俺が潰しちゃったからね。今はそんなこと行われていない。だからこそ巫女は純粋に国民の中から選ばれる。選ばれた子が誰かにその権利を譲渡すれば、余所者でも簡単に巫女になれるらしい。要は形式ばって見せたいだけで、見目のいい奴なら誰でもいいってことだ。勿論巫女に選ばれた者には何も知らされないことだから、巫女の譲渡なんてことは頻繁に行われることだし、ちょっと都合が出来たからなんて軽い一言で気軽に変わる者だっている・・・」
 ゾロはコックが姿を消す直前にコックと話をしていた女のことを思い出した。
 確かにやたらと見目のいい女だったと記憶している。
 人形のように整った顔立ちで静粛そうに見えた割に、どこか性的なしどけなさを纏わりつかせていた。
 あの女が今回の巫女だったとすれば、コックがどうしてあの場に担ぎ上げられたかの経緯など簡単に想像できる気がした。
 仲間であるなら誰もが知っていることだが、あのコックの女性に向けた崇拝っぷりは少々異常な程だ。
「まあ・・・あの子が選ばれちゃったのは何の因果なんだか・・・」
 男が呟くように落とした言葉にゾロは弾かれるように顔を上げた。
「テメエ、コックの野郎を知ってやがんのか?」
 訊いた後でハッとする。
 赤い色を見たような気がすると、ここの通りにある時計を見ながらコックは言ったのだ。
 恐らくこの出会いは偶然などではない。
 男が複雑そうな顔で苦笑する。
「ちょっとだけ縁があっただけの話さ。海賊として海に出たとは聞いていたから気にもなっていたが、まさかルフィの船に乗っているとは思わなかった」
 やはりこの男はコックが言っていた赤い色の存在で間違いなく、ルフィの探していたあの男と同一人物なのだろう。
 そのことをゾロは問いただそうとしたが、それよりも先に、コックにあった不自然な点が一気に1つの線になって繋がるのを感じ、赤髪の男の正体など今はどうでもいいことだと言う意識にすり替わった。

 この島のテーマパークに子供の頃に遊びに来たらしい写真。
 覚えていない誕生日。
 男に抱かれたことが無いような純粋無垢な反応でいながら、いざ事を起こそうとすれば、あるような気がすると180度方向の違う意味不明なことを言いだした。
 挿れようとしたら気を失った。

 今、この男は何と言っただろうか?
 この水族館の地下に毎年一人ずつ子供を選んで・・・・・・・・・王への献上物として耐えることが出来るように教育・・・。
 まだ幼い子供を・・・? 1年間休む間も無く続けられる性的な虐待に耐えられるように仕込む・・・。
 何をどう言う風に?
 リアルな光景を想像してしまい、ゾッと背筋に寒気が走った。


「ハッピーバースデー」


 赤髪の男が不意に脈絡の無い単語を口にした。
 まさか・・・と思う。
 あのコックは誕生日を覚えていない。
 誕生日前後の記憶が曖昧で、昔この島に遊びに来たらしい時の記憶も全く覚えていなさそうだった。
 つまりそれは誕生日前後にこの島に来たと言うことを示す。
 そして、今この男は言ったのだ。
 祭りの日に子供を選んで地下に閉じ込める。
 祭りの日。誕生日前後。
 静かな口調で赤髪が言った。
 ゾロの思考を完全に先回りした、ゾロの疑問への応えのようだった。

「誕生日の日だったそうだ。頑なに自分の誕生日を口にしない子で、子供なりに遠慮してたんだろうって。だけど、ある時強引に聞き出したとかで、1日前に皆で祝ってやって、誕生日当日にここに連れて来た。普通の子供のように遊んだ経験すらまともに無い子で、生意気言いながらも嬉しそうにしていたと・・・。丁度今のように祭りが行われていて、空に打ち上がる花火を見ては、はしゃぎ声をあげていた・・・この水族館の魚をいつまでも楽しそうに見ていた・・・」

 本祭の終わりを告げる花火があがった。
 3日に渡る祭りは明日の後夜祭を経て終了になる。
「・・・そんな時に事が起こった。皆は必死に探したがなかなか見つからない。結構な日数が経ってしまった。死んでいるのかもしれないとさえ思われたそうだ」
 そんな話を聞きながら、今日は何日だと、ゾロは自分の記憶を探った。 
 ナミが取ってきたディナーの予約はパレードが通る本祭の日。1日から始まる3日に渡る祭りの丁度、中日・・・。

 3月2日。

 思わず視線を走らせた先にある扉のついた時計。
 その針があと数時間で今日と言う日が終わる時間を指していた。
「赫足はずっと悔いていたよ。あの子が何でもない事のように平気そうに振る舞う度にね・・・」
 赤い髪が海からの風に揺れる。
 







 キラキラと天上からのライトに鱗を光らせる色とりどりの魚を目で追いかけていた。
 あんなに沢山の魚を見るのは初めてで、あの魚はどう言う風に調理できるのかとか、名称、生息場所など一気に気になって、その度にクソジジィを捕まえて訊いた。
「それぐらい自分で調べやがれ!」 と言うジジィの足を「ケチ!」と拗ねて蹴りつけ、だけど俺は、自分で調べてみるのもそれはそれで楽しくわくわくすることだと思い、それ以上しつこく訊くことはしなかった。
 バラティエに帰ったら、ジジィの部屋に置いてある魚の辞書をこっそり借りて調べてみよう。
 そのためにここにいる魚の種類は全部脳内に1匹たりとも漏らさず叩き込んでおくんだ!
 それぐらいの気合を込めて、水槽のガラスに貼りついた。
 魚の中にアザラシやラッコを見かけては、あれも食えるのか? と真剣に首を傾げた。
 陽光すら届かない室内の中に広がる限られた小さな海なのに、電灯の灯りだけでも光る海水の青、魚達の煌びやかな群れ。
 目に映っていたそれが急激に閉ざされ、叫びを上げようとした瞬間には口を塞がれていた。
 散々暴れて噛みついたり蹴ったりした気はする。
 だが、子供の体で抵抗するには大人の体は大きく、また力も自分とは比べ物にならないぐらに強かった。
 意識はそこでふつりと途切れた。
 そこから先は・・・・・・・・。


(どうなったんだっけ?)


 ぼんやりとサンジは考える。
 頭の上で花火の音がした。
 近いところであげられているらしく、その音は船から聞いていたものより近く、ビリビリと鼓膜を震わせた。
 この花火の音もずっと前に頻繁に聞いていた時期があった気がする。
 視界がいつもより高く、人の頭が唸り狂う波のように連なっていた。
 吹き付ける風が衣服を強く揺らしていく。
 随分と無駄の多い服を自分は身に纏っているようで、広めにつくられた袖から、足元までもを覆い隠す丈の長いそれの裾まで旗のようにはためいている。
 髪に編み込むようにして取り付けられている髪飾り同士がぶつかり合って、鈴のような音を耳元で忙しなく鳴らした。
 首や腕、足にまでも輪っかのような装飾品が複数嵌められており、装飾と言うよりは拘束具のようだと感じてしまった自分の思考におかしいな? と首を傾げる。
 装飾品自体はとても美しいものなのだ。
 きっとナミさんやロビンちゃんが身に着けたら俺なんかより、よっぽど綺麗に映えるだろう。
 そもそも何で俺はこんなところにいて、ヒラヒラしたドレスのようなものを身に纏っているのだろうか?
 頭に閃くように割り込んでくる、子供時代の、今まで覚えていなかった不自然に抜け落ちた記憶を薄々取り戻すのと同様、ぼんやりと、どこか非現実めいた世界で考える。
 何かまずいのではないだろうかと漠然と思うものの、何がまずいのかがよく分からない。
 自分の乗っかっている神輿の周りを取り囲んでいた独特な格好をした美しい女性達が俺に恭しく手を伸ばした。
 白い上衣。赤い袴。
 どこぞやの国の巫女と呼ばれる者の正装だとサンジは知っていたが、何でそんなものを着た女性達が自分に手を伸ばしているのだろうか?
 まるで神を迎え入れるようだとさえ思える厳粛な雰囲気の中、悪いとは思ったが何もかもが疑問だらけで状況についていけない。
 だが、美しい女性から手を伸ばされたら、その手を取らないのも失礼に当たるし、何より男としてこれほどおいしいシーンはないだろう。
 サンジは腰を据えていた椅子から立ち上がった。
 シャラン・・・と、全身にも巡らされていたらしい玉のような装飾具が綺麗な音をまた慣らす。
 装飾具?
 美しい。その音も鈴が鳴るようで心地いいもののはずが、どこか人の体の自由を奪う拘束具のそれと似たようなものに感じるのは何故だろうか?
 頭痛がした。
 やはりこれはまずい状況のような気がする。
 逃げなければならない。
 そう思った傍から。

(従順であれ)

 命令のように言葉が被る。

 従順?
 そんなもの俺には不要だ。
 だが、どうしてかその言葉から抗えない。


 人に抱かれる時は足を開くこと。
 抵抗はしてはいけない。
 言葉で恥らったり嫌がったりするのはいい。
 だけど貫かれたらその人に縋って甘えてみせろ。


「巫女様、お早く・・・王がお待ちです」
 下から声がかかる。
 暫し動作が止まってしまっていたらしい。
 巫女? 王? 何のことだ? とサンジは思ったが、自分の思考とは裏腹に体が別の誰かに操作されてしまっているかのよう、言葉に従順に従ってしまう。
 サンジは巫女服の女性に手を伸ばした。
 その手に自分の手を乗せようとした刹那、何かが視界の端で飛び上がる。
 神輿の周りを果てしなく取り囲んでいた雑踏が割れる。
 赤い色が視界で咲き、続くように緑の葉が・・・いや、あれはそう言う繊細な形容の類ではなく、単純に藻だ。藻の塊だと言った方が一番しっくりくる。
 呑気にサンジはそんなことを思う。
 悲鳴と怒声が周囲をあっという間に覆い尽くしてしまったが、それでもサンジは身動き1つ出来なかった。
 俺の手が触れるのを待っていたはずの綺麗なレディの顔は、もう遠くに離れてしまっている。
 代わりに目の前に降ってくるよう現れたのは、お世辞にもホイホイ手を伸ばしたいと思うような可愛い面なんかしていない。
 むしろその真逆の、どこからどう見ても悪さの窺える凶悪顔の剣士だ。
 周囲が派手な悲鳴を経てすっかり混乱に代わっている割には、そいつが手に持つ剣から血は滴っていなかった。
 通路に倒れている人間も結構な数見えたが、どれも峰打ちなのだろう。
「何そんなところでボヤボヤ突っ立ってやがる。逃げるぞ、クソコック!」
 緑髪の剣士が言った。





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 ほんとチビナスごめんね;
 一応その設定だけは固定にしたんだけど、そうしたらとんでもない展開になっちゃ・・・っt(ごにょ
 
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