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Cyanos6

2011.07.10 13:48|Novels
Cyanos6
「ちょっと、あんた! サンジ君返しなさいよ!!!」
 並みの女より度胸が据わっている女だとは知っていたが、急にサニー号の上空に現れた、恐らく敵と認識しても構わないだろう男の出現にナミが堂々とした声をかけた。
 黒髪の男はそれに面白がるように笑って、一層手の中に抱いたサンジを自分に引き寄せる。
「前にも言ったけど、これはサンジじゃないよ」
 怪しく言い放つその男の言葉に沸々と血が煮えたぎるような苛立ちを感じながらゾロは上空の男を見据えた。どう言う仕組みになっているのか分からないが、どう見ても宙に浮いているように見える。
 そんなこと言われたの? とナミを始めとするあの場にいなかったクルー達が一度ミルザムと対峙したメンバーに視線を寄せたが、誰もがそう言ったミルザムの言葉を認めてはいなかったので、首を頷けるようなことはしなかった。
「やっぱり大気か何かを操つる能力なのかしら?」
 隣に立つロビンがどこか冷静な口調で言う。
「あんたがミルザムね! 分かってるのよ、あんたサンジ君のシリウスの瞳が目的なんでしょう!!!!!」
 何を考えたのか、どーん!!! と言ってのけたナミに周りが「おい」と突っ込む。いつもならこう言う直情径行な言動はルフィの役割なのだが、そのルフィがいつに無く大人しくしている様子に、ナミがその役割を敢えて買って出たのかもしれない。
 何にしろこっちには情報が少ない。ミルザムの目的が何であるかを裏からちまちま探るよりは、本人に潔く突きつけてその反応を見る方が何かと手っ取り早い。
 それに、誰も口にはしなかったが、サンジに次の喪失が起こってしまった以上、またその次の喪失が起こる可能性を危惧しているのだ。最初にサンジが不調をその体に刻み始めてからまた1ヶ月も経っていない。つまり前の島からこの島に辿り着くまでの数週の間に、サンジは様々な不調を体に刻みながらも、声、記憶・・・そして今は感情と喪失していったのだ。
 ・・・となると何がきっかけになるのかは分からないにしろ、次の喪失が起こるまでに一週間、日があるか無いかだろう。
 とにかく時間がないのだ。
「随分と威勢のいい泥棒猫だね」
 世間に出回っている手配書のことを知っているのだろう。ナミのことを敢えて泥棒猫と呼びミルザムは自分の顔半分を隠していた長く伸ばした黒髪をかき上げて見せた。
 普段はその髪に隠されているのだろう。その右目の空洞がやけに恐ろしくクルー達の目に映る。
「目的も何もこの瞳は僕がサンジにあげたものだよ」
 言い放つミルザムの言葉に誰もが息を呑んだ。状況がやはりうまく分からない。
 てっきりミルザムの目的はサンジの左目に在ると思われるシリウスの瞳なのだとばかり思っていたのだが、今そのミルザムは自身の右目の空洞を見せつけながらも、自分がそれをサンジに与えたものだと口にした。
 もし、シリウスの瞳が元々ミルザムと言う男の右目にあったのだとして、過去にそれをサンジに与えたのだとしたら、一体それはどう言う意図を持つのだろうか?
「え、ちょっと、どう言うことよ、それ・・・」
 目に見えてうろたえたナミを見下すようにして、ミルザムはどこか懐かしがるように目を細めた。
「サンジは弱い子だったからね・・・・・・」
 悪寒が背筋を走る。過去にこいつとあのコックとの間に何があったのかなんてことは知らない。だが、チョッパーが以前口にしたように、こいつは良くないものだ・・・と、ゾロは思う。他に表現のしようがないほど、それは深く暗いものであるような気がした。
 それに何もかもあのコックのことを知り尽くしたような物言いがゾロには気に食わなかった。そんなゾロの強い殺気に気付いたのかもしれない。
 ミルザムが動きを見せた。
 咄嗟にクルー全員が戦闘の体勢に身構える。
 その腕の中に微動だにせず、ただぼんやりとしたままのサンジがいるため、誰もが直接的な攻撃をミルザムに仕掛けられずにいたところを、その口から発せられた挑発的な何かを含んだ言葉が合図を刻んだ。
「お喋りはこれぐらいにして、そろそろ試させてもらおうかな?」
 ルフィとゾロが瞬間的にその腕の中にいるサンジをミルザムの腕から引き離そうと、地を蹴って飛び出そうとする。それを視界の端に認めてナミが手に持った杖を振り上げた。
「あんたが大気を操るのは分かってるのよ!!」
 言ってナミは上空に向かって風を起こす。一見ミルザムと言う男が宙に浮いているように見えるのは、大気を利用した何らかの現象だろう。考えられる線はいくつかあったが、今まで戦ってきた様々な相手のことを思い出しても、それは目に見えないだけで、二人が立っている位置に何らかの足場があるには違いないのだ。
 なら、それを吹き飛ばせばいい。
「サイクロンテンポ!!!」
 ナミは雲の層を手馴れた動きで上空に作って嵐を起こそうとしたが、何故か作ったはずの雲が形になる前に大気に溶けるように消えてしまう。
「嘘っ!!! 何で!?」
 動揺を刻むナミの横をゴムのバネを利用して上空に飛び上がったルフィと、人型に変形したチョッパーの手を借りて同じよう宙を駆けるように飛んだゾロの姿が過ぎって行った。
 しかし、それよりも早くミルザムが動きを見せる。何をしたのかは分からなかったが温かく湿った空気が足元を撫でて行ったかと思えば、急激な冷気が漂って水平に移動するよう白い靄が周囲を覆って行った。
 徐々に地面から立ち上って周囲を白く染め上げていくそれに、ナミは瞬時にあの男が霧を作ったのだと分かった。
 ・・・となると、ミルザムが宙に浮かんでいるように見えるのは、氷霧を上空に作っているためではないだろうか? 氷霧は微細な氷粒で構成される霧で、要はダイヤモンドダストと同じようなものなのだが、大気中を落下せずに浮遊しているものはそう呼ばれず、あくまでも霧の一種としてみなされる。
 ふと、ナミは思い出した。この島に辿り着くまでの間に2度遇った襲撃。
 1度目は海賊船、2度目は海軍船・・・一見何の接点もないように思えたあの襲撃は、しかしどちらも見張りがいたにも関わらず気がついた時には船を着けられていたと言う不可思議で静かな襲撃だったとナミは記憶している。
 もしかして、あれはどちらもこの男の仕業だったのではないかと、ナミは思った。そう考えると、1度目の襲撃の時自分を庇って傷を負ったサンジ君のあの肩の怪我は・・・・・・。
 そこまで考えて、ナミは何だか言いようのない何もかもが計算しつくされた上での結果のような、そんな周到な計画を予感してしまった。
 思わず身震いする。考えてみれば、2度目の襲撃時には辺りに霧のようなものが立ち込めたのだ。あの時、あの男がもしサンジ君に何かをしたのだとすれば、その直後にサンジが船を下りてしまったのも全てあの男の作戦のうち・・・。
 まるで、掌で転がされているようなそんな感覚が心の中に嵐を生む。あの男は何かを私達で試すつもりなのだと言ったのだ。一体それは・・・。
 考えている一瞬に凶暴な風が急に吹き荒れたかと思えば、ルフィとゾロが2人揃って攻撃がミルザムに届く前に吹き飛ばされ、船の欄干に打ち付けられた。
 霧だけじゃない・・・風・・・ううん、やっぱり大気そのものを操ることが出来るのだろうか?
 見上げた上空は既に白い霧に包まれ、うっすらとしかそこに在る姿を視認出来なくなっている。その中でも何故かサンジの金色の髪と、その目にある青い色だけが異様に鮮やかに捉えることが出来た。
 その輝きの青が普段は前髪に隠されている左目のそれなのだと気付いたのは、吹き荒れた風が周囲を覆っていた霧を晴れさせた刹那のことだ。
 ミルザムがサンジの左目に手を翳している。何をしているのだろうかと思えば、また凶暴な風が渦巻くように吹き荒れた。
 嫌な風だ。
 グランドラインに入ってから遭遇した予測不可能だと言われる嵐にも似ている。不思議で、どこか取り留めのないそれは本当にあのミルザムと言う男が起こしているものなのだろうか?
 2度目の襲撃の時起こった、突発的な嵐を思い出す。あれもミルザムの仕業だった?
 なら、どうしてあの時、嵐は中途半端に掻き消え、この船の後を追って来たようにも思えた人為的な意思を霧消させたのだろうか?
 挑発? 
 そう考えて、ナミは首を振った。
 何かがおかしい・・・。ハッとして見上げた上空のサンジの姿を捉えて、ナミは拳を握った。
 確証は何もない。だけど、もしサンジ君が何らかの意思に抵抗するために、自ら声、記憶、そして感情を閉ざしたと言うのなら、それはもしかして・・・・・・。
 あの男は恐らく戦闘に長けたタイプではない。現に直接あの男が攻撃を仕掛けてくるような素振りは見えない。むしろどちらかと言うと、参謀タイプなのではないだろうか?
「ナミ!!!」
 流石に周囲を吹き荒れていく風の異変に気付いたらしいロビンが、思考に捕らわれて立ち尽くしていたナミのことを呼んでくる。その声にハッとしてナミは息を呑んだ。
 もし、自分の考えが正しければ・・・。そう思う反面で、もし違っていたらどう言うことになるか・・・と言う不安が過ぎる。
 でも・・・・・・。
「ナミ~!!!!」
 チョッパーの声が聞こえた。小さな姿に戻って不安げな目でこっちを見上げてくる。先程吹き飛ばされて強かに体を打ちつけたらしい、ルフィとゾロが視界の端で立ち上がるのが見えた。
「私は・・・信じるから・・・信じてるから・・・・・・」
 誰に言うでもなく、ナミはキッと上空を見据えた。そうして大声で指示を出す。
「皆、直ぐにここを離れるわよ。嵐が来るわ!!!!!!」
 即座にナミの指示を受けウソップとフランキーが動いた。錨を上げて帆を張り、吹き荒れる風の中を突き進む。恐らく嵐はこの間と同じようにこの船の後を追ってくるだろう。
 巻き込まれればこの船は大破する。
 それを悟りながらも声をあげずにナミはフランキーに手で指示を出した。思い切り怪訝そうな顔をされたので、近くにいたチョッパーにこっそり耳打ちして、フランキーにこっちの意図を伝えてもらう。
 トナカイの姿になったチョッパーが軽やかにフランキーのいる場所まで駆け上った。
 全速前進と声を上げれば、ルフィとゾロが同時に走ったのが分かった。
「ルフィ、膨らめ!!!」
 ゾロの指示にルフィが思い切り空気を吸い込み、体をボール上に大きく膨らませる。その風船のような腹をバネにするよう思い切り蹴り上げて再びゾロは、ミルザムの腕の中にいるサンジの元まで飛び上がった。
 風が一瞬和らぐ。
「こっちに来い、クソコック!!!!!」
 手を伸ばせば触れられる位置にまで接近しているのに、ただ向けられるのは感情の無い青い目だけだ。
「お前は俺達の仲間だろう!!!!!」
 下からルフィの叫び声が聞こえた。それに便乗するよう他のクルー達の間からも同じような声が上がる。



 手を伸ばせば届くのに。
 反応してはならない。



(どうして手を伸ばさないの?)
 尋ねられてサンジは困ったように眉根を寄せた。
(君を1人にしておけないから)
 いつものように女性をくどく際に使う文句を口にすれば、どうしてか不可解そうな顔をされる。
(でも、苦しくないの? 辛くないの? 寂しくないの?)
(前にさ、ルフィが・・・あ、ルフィってうちの船長な! そいつが言ってたんだ。1人は痛いことより辛いから、俺には仲間が必要だって。それ聞いた時はさ、何かこう、そう言うもんなのかな? って俺にはよく分からなかったんだけど、でもよ・・・あいつ等と一緒に旅するようになってやっと俺にも分かったって言うかさ・・・体痛めつけられたり、壊れてったりするより、やっぱあいつ等傷つけたり、1人になるのは辛いなって思う自分がいるんだ)
(でも、貴方は今、1人よ?)
(いや、そうでもないさ。1人って言う孤独は、自分の心が生み出すものだろう?)
 サンジは笑う。
(俺にもさ、人を信じられない時期があったんだ。いろいろとさ・・・まあ、トラウマって言うのかねぇ? 辛いだけの行為とか結構続いて、あー、皆、結局はそう言うことしたいだけなのかなーとか、まあ、自暴自棄になってたんだよ。俺も・・・・・・。自分守るためには必死に虚勢張るしかねぇ子供だったんだな。感情に翻弄されてばっかなのも癪だったから必死に閉ざしてやった。だけどよ・・・いつからかそう言う行為はさ・・・あれは違うんだなって分かったって言うか・・・ハハッ、俺何言ってんだろうな?)
(ううん、何となく分かるよ。サンジの言うこと)
(そっか、それならいいや)
 手を伸ばしてその頭を撫でてやれば、金色の髪の柔らかな質感が心地よく触る。それでもどこか不安げなその顔に優しく声をかけてやる。
(それにね。君も、もう1人じゃないだろう。俺はここにいるし・・・これ以上傷つかなくてもいい。俺が抑えるから・・・・・・)




 四肢が千切れそうな程の激痛。体がバラバラになっていくような衝撃。それでも感情を失った顔が苦痛を刻むことがないのはある意味有り難いとサンジは思った。
(見ていろ、ミルザ・・・シレーヌはお前のものにはならない)
 例えば、失いたくないと思える温もりに出会ったとする。それを俺は最初から知らなかったから不可解で、訳分からなくて、只管戸惑うばかりで。
 辛いような気がした。
 だけど、それはよくよく考えてみれば、当たり前の日常に在る幸福だったんじゃないかな? 
 元から俺には体1つしかなくて、俺が与えられるものなんて、そんな体だけで。誰だってそれを望んだから、心なんていらないのだと勝手に思っていた。
 突きつけられた現実とか、犠牲とか、そう言うのは俺の罪だと思うけど、自分じゃない誰かが俺と同じような罪悪感を抱えて苦しんでいるのを見たら、俺は前ほど俺を憎めなくなったし、そうじゃないと教えてくれた奴等も、俺が気付かなかっただけで、ちゃんと居たんだ。
 不思議なことに、そう言うのはさ、結構時間が経ってみないと分からないものなのかもしれない。そう言う後悔を抱えて生きていくのが人だと言うなら、俺は俺の信じるもののままに進んでもいいのだろう?
 俺は、そこでどんな風に笑っていたんだろう。
 なあ、ミルザ・・・・・・。



 ナミの指示通り嵐に向かって突っ込んだはずの船は、いつの間にかその嵐を構成する凶暴な風に押されるよう海原に飛び出していた。
 陸地は視認出来ないほど、もう遠くに行ってしまっている。
「おい、こりゃどう言うことだ?」
 ナミの指示通りに船を動かしたフランキーが呆気に取られたような顔で下りてきた。
 急激に嵐が起こったかと思えば、それはこの船を巻き込むようにして消えてしまった。なのに船はどこも被害を受けていない。むしろ、わざとあの嵐に逃がされたような状況に、自然とナミの傍に集まって来た仲間達が説明を求める。
 ナミはロビンの顔をチラリと見た。ロビンが頷くのを見て、確信したように口を開く。
「今の見たでしょう。嵐を起こしたのはミルザムって男じゃなくて、サンジ君よ・・・。そして、サンジ君はわざと嵐にこの船を巻き込んだように見せかけて私達を逃がした・・・・・・」
 首を一斉に傾げ、頭に疑問符を多数浮かべた男共を目にナミは溜息を吐きたくなったが、それでも分かったことはそれなりにあったのだろう。
「じゃあ、サンジはまだあそこにいるんだな?」
 確認するようなルフィの言葉にナミは頷いた。
「サンジ君が意図的にやったとしか思えないわ・・・私達はサンジ君に逃がされたのよ・・・・・・」
 これでミルザムと言う男の目的が薄々見え始めた。ミルザムはサンジを使って嵐を起こそうとしている。その実験をこの船でした。
 ミルザムの言葉を思い出してみれば、そのことまでは容易に辿り着く。
「問題は何のためにあの力を使うつもりなのか・・・ってことよ・・・それに、サンジ君がどうしてあんなこと出来るのか分からないけど、大丈夫なのかしら?」
 ナミの懸念に逸早く反応を示したのはチョッパーだ。
「あまりこう言うこと言いたくはないんだけど、医者としての目から見れば、あれじゃあ、サンジの体は壊れていく一方だと思う・・・・・・サンジが喪失で自分を守っているって言っただろう? それがあの力を抑えるためのものだと仮定すれば、それだけの喪失を犠牲にしなければ抑えられないだけの衝撃が体に加わる。でも、ナミの言う通り、もしサンジが自分の意思でさっきの力を抑えたのだとすれば、喪失だけでは賄いきれないほどの負担が体に当然かかる・・・」
 チョッパーの言い分に沈黙が落ちた。誰もが二の句が継げないでいる中、ロビンが冷静に言った。
「今のがあの力を試す実験なのだとすれば、今度はコックさんのことを実験ではなく、本気で使うつもりってわけよね? そうなる前に何とかコックさんを取り戻さなくては・・・・・・」
「ああ、危険だ・・・・・・」
 ロビンの言葉の先をチョッパーが引き継いだ。
「一体、サンジ君に何が起こってるのかしら?」
 尤もな疑問をナミが口にした。少しずつ符合しつつある事象だが、状況は更に悪くなっている。
 ロビンは先程ゾロに聞いたことを思い出していた。この島に伝わるセイレーンの伝説。セイレーンは、その美しい歌声で船乗りを惑わし難破させたと言われる伝説上の生物だが、船を難破させる手段に使われたのは”嵐”だと言う。
 つまり、セイレーンの声が嵐を起こすのだ。
 ゾロの了解をとって、仲間達にもそのことを伝えれば、次にやるべきことは自ずと見えてきた。
(・・・俺はシレーヌ)
 あの時、声無き声で伝えてきたコックの言葉がゾロの脳裏で繰り返される。
(くそっ・・・)
 やはりあの時コックは、俺に何かを伝えようとしていたのだ。遣り切れない思いを抱えながらも、さっきコックに向かって伸ばした手の先にあった、あの酷く青白い顔をゾロは思い出した。
 もう少しで届いたはずなのに、届かなかった。手を伸ばせば届く位置にあったのに、コックの手が俺に伸びることはなかった。
 かと思えば、自身の体の崩壊の可能性もある中、俺達をそれとなく逃がす行動を取った。それは手を伸ばすより遥かに負担がかかることではないのだろうか?
 そう言うことが出来るのなら、簡単にあの時、俺に手を伸ばせたのではないだろうか?
 あいつの意思がどこに在るのか分からない。同時にあの感情を映さない目の中に在るあいつの世界は、あの時一体どこに在ったのだろうか? と思う。
 あいつは何を守りたがっているのだろうか?
 今度こそこの手にあいつを捕らえたら、容赦なく問いただしてやるのだと、ゾロはその顔に怒りを滲ませた。
 


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