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Cyanos1

2011.07.05 22:00|Novels
 俺はここで死んでいたはずだった。
 シレーヌはお前のものにはならない。



 
 サンジが船を下りた、その日のうちに島は姿を現した。
「秋島・・・かしら?」
 ロビンがそう口にしたのに、ナミが「そうね」と頷いた。その声に高揚感はない。
 吹き付ける風は少し冷たく肌寒い。だけど凍てついたものと言うほどではなく、遠い位置から見ても分かるほどに木々の色合いが赤や黄色と鮮やかだ。紅葉、黄葉は秋島特有のものだ。
 新しい島が見えてくる度に冒険心を募らせて真っ先に船首にやって来るルフィの姿も今は見えない。他の仲間達も約一月に近い長い航海の果てに見えてきた島だと言うのに、どこか気も漫ろだ。
「サンジ君・・・あの島にいるのかしら?」
 ナミが小さく呟いた言葉にロビンが頷いた。
「あの場所で下りて向かうとしたらこの島しかないはずよ」
 尤もなことを口にするだけでも、ナミは少し安堵したようだった。
 この広い世界、しかもグランドラインで一度はぐれてしまったら、人1人の存在を探し出すことは難しい。しかも、相手が何らかの意志を持ってこっちの追跡から隠れているのだとすれば、それは尚更である。
 だが、行き先が分かっているのなら、それだけで探す範囲は絞られる。
 それに、ナミにはどうしてもサンジが自分の本当の意思でこの船を下りていったとは考えられなかった。何かよっぽどの事情があったのだと思う。
 それは仲間達の誰もが思っていることだろう。
 島に上陸する前に一先ず皆はキッチンに集まった。朝食の準備は律儀にもしっかりと済まされており、温めて食べるだけの状態になっていた。
 残りの食材も全て直ぐに調理出来る状態に加工されているのを見ても、サンジのちょっとした心配りが見て取れる。この船の皆を見限ってこの船を下りてしまったのだとしたら、わざわざこんなことはしない。
 あの心優しいコックは船を下りる直前までこの船のクルー達のことを考え、食事のことを気遣い、案じていたのだ。
 誰もが食事などをしていられる気分ではなかったが、折角サンジが用意してくれていたものを無駄にすることも出来ず、皆で食卓を囲んだ。
 いつもと変わらない味、変わらない温かさだった。
 ただ1つ、いつも食事中は何かと気を回してせかせか立ち回っていたサンジの姿がそこにないだけである。ただそれだけなのに、食べ終わる頃になると勝手に出てくるお茶も、物足りなそうにすると追加されるメニューも、「美味しかった」と告げると子供のように笑う姿も一緒に無くなってしまった。
 いつも煩いほど賑やかな食卓が今日はやけにひっそりと静まり返っている。誰も場を盛り上げる役に回ろうとしないものだから、それは時間が過ぎる度に一層重苦しい空気へとなっていった。
「取り合えず、情報の整理をしましょう」
 そんな中、努めて冷静にナミが口を開いた。この船の男共は戦闘では役に立つが、こう言う頭を使う話になるとほとんど役には立たないことをナミは誰よりもよく知っている。
「サンジ君が船を下りた理由、分かること、少しでも気付いたことがあれば何でも話して! 特にルフィ! あんたサンジ君が船を下りるって言って、まさかその理由を何も聞かなかったってわけじゃないわよね? 聞かないで許可したわけじゃないでしょう?」
 ナミの睨むような視線にルフィだけでなく、周りの皆までもが竦みあがった。
「別に、特に聞いてない」
 だがシレッと応えたルフィにナミが「ふざけないで!」とテーブルを叩く。料理の盛られていた食器が衝撃で飛び上がって、甲高い音を鳴らした。
 ロビンがそんなナミを宥めて、まず個人個人が思い当たる節をあげていった。
 中でもチョッパーとロビン、そしてゾロの3人は薄々サンジの異変に気付いていたこともあり、3人の間で話していたことを一から説明する。
 サンジの不調の原因は元々なんだったのか? と言うこと。そして、その不調がもしかしたら人為的なものではなかったのかと言う仮説に始まり、回復し始める度にもしサンジが何かを失っていっていたのだとしたら、記憶を取り戻しかけていたサンジの身にまた何かが起こったのではないか? と言う話にまで発展した。
 一見しただけでは、今回サンジが船を下りたこととは何の関係ないように思える事象だったが、タイミング的に無関係とは言えないだろう。
「何よ、それ・・・何でそんな大事なこともっと早く言わないのよ!」
 ナミの怒りも尤もである。
「ごめんなさいね。私達も確証があったわけじゃないのよ。ただ徒に心配させてもいけないと思ったし、コックさん自身に自覚があったかは分からないのだけど、下手に刺激しないほうがいいようにも思ったの」
 ロビンが言えば、一応ナミも大人しく黙り込む。
「だから事情を知る俺とゾロとでサンジのことを見張ってたんだけど・・・・・・」
 続けて口を開いたチョッパーが途中で言葉を切って俯いた。
 まさか自分がサンジに処方した睡眠薬をこう言う形で使われるとは思っていなかったのだろう。しかも、食べ物や酒に仕込んであったとあっては、あれだけ食に関することには煩いサンジのことだ。その食べ物に薬を仕込むと言うことは、相当な決意だったのではないだろうか? しかも仲間に対してそう言う行動を取る時点で、やはりよっぽどの事情があったとしか思えない。
「つまり、あなた達を眠らせたのはコックさん自身が自分が見張られてるってことに気付いてたってことでしょう? と言うことはやはりコックさん、自分の身に何かが起こってることに気付いていたんじゃないかしら?」
 どこまでも冷静なロビンの言い分に皆が首を頷ける。
「これは仮説でしかないんだけど、私が見た限りでは例えば、コックさんが調子が悪くなる度に声や記憶と言ったものを失って、それで無意識にでも身を守っていたとしたら、コックさんなりにそれは必死に何かから抵抗していたってことでしょう? 今回記憶が戻りかけたことでその抵抗する力が万が一弱まったのだとしても、コックさんは自ら眠りに落ちてみたりと不可思議な行動を取っていたわ。私にはやっぱりそれもコックさん自身が自分で身を守るためにやったことのように思うの。それで、今回コックさんが船を下りた理由と結びつけると、その抵抗がコックさんはもう出来なくなってしまったんじゃないかしら?」
「サンジ、昨日の敵襲の時、自分の戦い方を思い出しただろう? たぶんそれが引き金だったんじゃないかな? あの後からまた少し様子がおかしかったように思うし・・・」
 引き継いだチョッパーが少し考え込むような素振りを見せる。
「そう言えば、あの時嵐が来て、一瞬サンジ君の姿が見えなくなったわよね?」
 思い出したかのようなナミの一言に皆が視線を寄せた。ほんの一瞬と言えば一瞬だったのかもしれない。
 だが、自分の戦い方を思い出しどこか高揚した様子で次々と敵兵を薙ぎ払っていたサンジの姿が忽然とそこから無くなっていたのだ。チョッパーは特にあの時、サンジの記憶が戻ってしまったら何らかの喪失がまた起こるのではないかと危惧して、何度もサンジに戦うことを止めるよう促していた。サンジはチョッパーの言葉には耳を貸さなかったが、チョッパーは戦いながらもずっとサンジのことを見張っていたのだ。
 だが、ふとした瞬間にそのサンジの姿を見失ってしまった。確かあれは嵐が唐突に発生した瞬間だったように思う。
 そのことを口にすればナミが表情を変えた。
「あの嵐、ちょっとおかしかったのよ!何かおかしい風だとは分かったんだけど、あの後、船を旋回させても何故かあの嵐自体がこの船を追ってくるように付いてきたでしょう? かと思えば急に何事もなかったかのように雲は消えちゃうし・・・グランドラインだから何が起こっても不思議はないって思ってたけど、あれってよくよく考えてみたら私の使う技にちょっと似てないかしら?」
「人為的な嵐だったってこと?」
「そう、それよ!」
 ナミとロビンのやり取りを聞いていたチョッパーが急に顔色を変えた。
「お、俺、そうだよ、見たんだよ!あの時、嵐が晴れたと思ったらサンジの姿が見えたんだ。今まで誰もいなかった場所に行き成り現れたように見えて、俺、自分の見間違いか何かだと思ってたんだけど・・・・・・」
 ここでまた沈黙が落ちた。既に情報が氾濫しすぎていて、何をどう纏めたらいいのか分からない。現にルフィやゾロなどは全く話についてこれていない様子だ。
「とにかく、コックさんは今まで何かに抵抗していたけど、その抵抗が出来なくなったと感じたから船を下りた。その原因は昨日の敵襲時の嵐に関係あるかもしれない。あと、元々のコックさんの不調の原因は前の島での出来事に関係しているかもしれないってこと・・・分かってるのはそれぐらいよね?」
 ロビンが簡潔に纏めた。
「でも、それでサンジは船を下りてどこに行ったんだ?そもそも、抵抗が出来なくなったって、サンジは何に抵抗してたんだよ?」
 ウソップに尤もなことを突きつけられてしまい、結局は振り出しに戻る。
「あー、もう分からないけど、前の島でサンジ君が会ったって言う男よ!あいつがサンジ君に何かしたに決まってるわ!!」
 言い切ったナミに今まで黙り込んでいたゾロが口を開いた。
「ミルザム・・・って男らしい・・・」
 コックが何かを隠していることは気付いていた。それを少々強引な手段を使ってでも暴き出そうとしたのだが、結局ゾロが聞き出せたのはその名前ぐらいだ。
「あら? 船医さんが最初に言った名前は確かミルザじゃなかったかしら?」
 ロビンが首を傾げるのに、ゾロがその名前を聞きだした時のことを思い出したのか少々苦々しい顔をしながら言った。
「どさくさに紛れてあいつ言いやがったんだ。ミルザムって・・・恐らくそっちが本名で、ミルザは愛称が何かだろう・・・あいつ自身記憶が戻らない状態で混乱してたみたいだから確かだとは言えないがな」
 するとロビンの顔が険しくなる。
「ちょっと待って。私、あなた達にシリウスの瞳の話をしたわよね?」
 急に話を変えられてゾロとチョッパーが怪訝な顔をし、その他の仲間達は何のことだ? と首を傾げた。
「ミルザムって言うのはシリウス同様に星の名前よ? 元々はムルジムって発音するんだけど、地方によってはミルザムとも言うの。シリウスが昇ってくるのを予告する星って言われているのよ・・・・・・」
 何かの偶然だろうか?
 記憶を失くしたサンジはシリウスと言う星のことを気にして調べていた。だけどそれは星が気になったのではなく、シリウスの瞳と言うものに覚えがあったのではないか? とロビンは指摘していた。そして、そのサンジが徐々におかしくなっていった原因の根本にあるのが、前の街で会ったと言うサンジの昔の知人だと言うミルザムと言う男。
「偶然にしちゃ出来すぎてねーか?」
 ゾロが唸るように口にすれば、ロビンもそれに同意を示す。勿論それがどう言う繋がりを持つのかまでは分からない。だが、今はっきりとしたことがある。
「とにかくそのミルザムって男を探せば、サンジ君にぶち当たるってことよね?」
 ナミが強く言った。
「でも、そいつがいたのは前の島だろう。この島にいるのか? もしかしてサンジ1人で前の島に戻ったなんてことは?」
 ウソップの指摘にナミが言う。
「それならまず港から探してみましょう。サンジ君が船を下りたのは今日の明け方よ。しかも小船で下りたなら尚更、港を張っていれば会えるかもしれないし、目撃情報もあるかもしれないでしょう」
 ナミの意見に皆が同意した。
「とにかくサンジ君を捕まえるの。ルフィが許可したとは言え、私たちはサンジ君が船を下りたことを納得してないわ。もし何らかの事情があるならあるで、納得行く理由を言ってもらわない限り、私達はサンジ君の離脱を認めない。いいわね、ルフィ?」
 仲間達の視線が一斉にルフィに集う。ルフィは珍しく真剣な表情を作って「ああ」と頷いた。



 取り合えず何をするにも情報収集が基本と言うことで、初めて上陸する島ともなると、それは一番重要なことになってくる。海賊と言うものは大抵どの島でも歓迎されないが、海軍が根を張らせている島だったりすると余計に注意が必要となる。
 何と言ってもこの麦わらの一味は全員が賞金首であり、手配書が出回っているためにどこからどう狙われるかも分からないのだ。その中でも唯一素顔のバレていないウソップだけを先に偵察に送り込んだところによると、一番まずい展開になったようで、どうもこの島には海軍の支部があるらしい。
 なので街にも海軍の姿が頻繁に見えるらしく、こうなるとサンジを捜すにしても、あまり表立った行動は出来ない。
 特に船長であるルフィなどは毎回大人しく行動すると言うことが出来ない体質なので、今回は船に残ってもらうことにして、サンジを捜す班と情報収集に回る班とで分かれることになった。
「でも、あんまり纏まって行動してるとバレバレだから、個人個人で動きましょう。何かあったら直ぐに船に戻って報告!そのために船にはルフィとゾロに残ってもらうから!」
「ちょっと待て、何で俺がルフィと一緒に留守番なんだ!」
 すかさずゾロがナミに文句を言う。
「だって、あんた直ぐに迷子になるでしょう!ただでさえサンジ君探さないといけないのに、あんたにまで迷子になられたら探してやれないわよ!」
 ゾロ以外の皆がその言い分に納得を示した。ゾロには自分の迷子癖の自覚がないので散々反論したが、それは悉く却下され結局はルフィとゾロが船の留守番に残り、その他のメンバーで街へ下りることになった。
「おい、チョッパー、ちょっといいか?」
 上陸の準備のためリュックに念のためと医療道具を詰め込んでいたチョッパーは、ゾロに声をかけられて顔を上げた。
「どうした、ゾロ?」
「あの時、クソコックも俺の飲んだ酒を飲んだが眠らなかった。だから油断したんだ。何であいつは眠らなかったんだ?」
「うーん、これは推測だけど、睡眠薬は多用しすぎると耐性が出来てあまり効かなくなるんだよ。だからサンジには抵抗が出来てたんじゃないかな?」
 ・・・となると昨晩のコックのあの行動は全て自分を眠らせるための演技だったと言うことだろうか? そのためだけに、あいつはまた自分に抱かれに来たと言うのだろうか・・・。
 意識がドロドロに溶けて眠ってしまう前にあいつはどんな顔をしていたのだろう。思い出そうとしてみるが、その顔が出てこない。ただ抱いている最中の酷く辛そうな顔だけが思い浮かんだ。
 同時に酷く甘やかしい声も耳に残っている。
(何だ?眠いのか、クソマリモ?・・・いいぜ、ゆっくり寝ろや・・・)
 これは確か意識が落ちる直前に聞いたあいつの声だ。何か違和感を感じた。だが、それが何なのか直ぐには出てこない。
 あんなに近くにいたのだ。この腕の中にあのコックは確かにいて、そして俺はあいつがおかしいことも分かっていた。なのに、今回こんな行動を起こされるまであいつの意志に気付いてやれなかったのだ、俺は。
 自分の不甲斐なさに思わず壁を殴りつけてやりたい気分になった。
「どうした、ゾロ?」
 覗きこんでくるチョッパーの顔にハッとする。
「ん?ゾロ、首に虫さされの痕があるぞ。何かに咬まれたのか?一応薬塗っとくよ」
 チョッパーが医療道具をゴソゴソと探り始める。
 虫さされ?・・・と首を傾げたゾロだが、直ぐにそれが何のことを示しているのか分かったのと同時に、背後から鋭い視線を感じた。
 チョッパーがチョンチョンと首に薬を塗っている間も、それは強くこっちを見据えている。睨み、挑むような視線だ。心なしか微かな殺気さえも交じっている気がする。
「よし、いいぞ。じゃあ、俺は行ってくるからな!」
 留守番よろしく!と、残ったゾロとルフィに手を上げて、チョッパーはトコトコと駆けて行った。そこに在った緊迫した空気に気付いた様子はない。
「ゾロ・・・」
 チョッパーの後姿を見送って、名前を呼んでくる声があった。後ろを振り向けばそこに当たり前のようにルフィがいる。
「その痕サンジがつけたのか?」
「ああ、そうだ」
 頷いてやれば、ルフィは少し辛そうな顔をした。コックはルフィと寝たと言った。だが昨晩暴いた体にそう言う痕跡はなかった。
 それに安堵しこそしたゾロだが、ルフィがあのコックに対して仲間以上の感情を持っていることは確かなのだとゾロは今確信した。体の関係がコックとルフィの間にあったとは思えないが、火の無いところに煙は立たないと言うように、何かしらの事はあったのではないだろうか?
 それを考えると、何故だか無性に腹が立った。
「そうか・・・あいつ、お前に何か言ってたか?」
 尋ねられてゾロは努めて冷静に考えた。ほんの数時間前のことだったのだ。
 やろうぜ・・・と誘われて、ただ抱いた。あいつが何かを隠しているのは分かっていた。それを白状させようとして逆にハメられた。あいつが言っていたことと言えば、俺と寝たことを後悔はしていない・・・と言ったあれぐらいだろうか?
 もしかしたら、昨晩のコックの行動は、俺を眠らせる目的と同時に、「さよなら」の意味もあったのかもしれないと今になってゾロは思う。
 あいつはずっと辛そうな顔をしていたのに、それはあまりにも強引すぎる行為の辛さなのだとばかり思って、本当のところ、あいつが何を考えてあんな顔をしながら抱かれていたのかなんてゾロには考える余地もなかったのだ。
「いや、何も・・・・・・」
 首を振れば、ルフィは訝しげに俺を見る。コックが言っていたことを口にしなかったのは、こいつに言う必要もないことだと思ったからだ。俺と寝たことを後悔していない・・・その言葉がどう言う意図を含んでいたにしろ、そのコックはもうここにはいないのだ。
「俺はお前のことを怒ってるんだ、ゾロ。サンジはいつも辛そうな顔をしてた」
「ああ、そうだろうな。俺が無理やりあいつを抱いてたんだからな」
 何故そんなことを口にしてしまったのか分からない。だが、ついそう口にしてしまったのは、こうなってしまった今となってもあのコックの気持ちが全く分からず、今までの行為の何もかもが自分の独りよがりのものに思えたからだ。
 俺は結局あいつの意思を何も確かめずにただ強引に抱いていただけに過ぎない。そのことを自分で自分に突きつけたかった。
「無理やり?」
 ルフィの目が驚いたように見開かれる。
「あいつがどう思ってたかは知らねーけど、嫌だって、最初は何度も言ってたな。そのうち大人しくなったけど・・・・・・」
 ハハッと笑ってやれば、それは明らかにルフィの感情を逆撫でしたようだった。
「ゾロ、お前っっ!!!!」
 ルフィの手がゾロのシャツを掴む。そのまま殴りつけられそうな雰囲気の中、いつからそこにいたのか急にウソップが割って入って来た。
「お前等、こんな時に喧嘩はやめろ!!!!」
 いつから会話を聞かれていたのかは分からない。そのまま黙っていれば分からなかったのに、一触即発の雰囲気につい飛び出してしまったのだろう。その足がガタガタと震えている。
「何があったか俺は知らないけど、そんなことしてる場合じゃないだろ。サンジがいたら絶対怒るに決まってる!!」
 ウソップの勇気を振り絞った懸命な訴えにルフィがゾロのシャツを掴んでいた手を離した。ゾロの顔を見ないまま、ふいと背を向ける。
「ゾロ・・・サンジは嫌な奴なんかに痕を残したりはしない。無理やり抱かれたりなんかしないだろう・・・・・・」
 ルフィは拳をギュッと握った。殴りつけたい衝動を必死に堪えたのは、ウソップの目があったからだ。弥が上にも自分の船長としての役割を思い出す。感情的になってはいけない。
 一度ウソップに酷い言葉を言いかけたことのある自分だからこそ、サンジが止めてくれなかったら分からなかった自分だからこそ、あの時、サンジが怒鳴って教えてくれたことを俺は忘れない。
 誰かが間違ったら、他の誰かが止めてくれる。間違いを指摘してくれる。必死になって止めてくれる。ここに居るのは、そう言う仲間達だ。
「・・・仲間なら尚更だ」
 吐き捨てるように言って、ルフィはその場を去って行った。
 
 
 



 あとがき-----------

 タイトルがなかなか決まらなくて、本文書くよりもタイトル決めに時間がかかってしまいました(笑)
 1部がSirius、2部がSirene・・・と来てたので、どうせ最初を「S」で揃えたから次も「S」から始まる単語にしようしようとずっと考えてて、最初に仮題につけていたのが「Seize」だったんですが、何となくしっくり来なくて、次に考えたのが「Separate」・・・どっちも意味合いを大事にしたんですが、結局、どっちも何となく、う~ん・・・と迷ってしまって、最終的に響きが気に入ったので「S」に拘るのはやめにして「Cyanos」になりました。
 1部と2部のタイトルは、もうそのまんまの意味で特に考えてつけたわけじゃなかったので、まさかタイトルに今回こんなに迷うとは思わなかった・・・。
 しかも、今後の展開を全く考えていなかったために(大まかなシーンは頭の中にあったものの、最終的にどうするかとか、細かい部分は全く考えてませんでした。今でもどこに進もうとしてるのかよく分かりません←問題発言;;)、ちょっと書きづらかったです;
 最初はゾロとルフィの衝突も考えていなかったんですよ。だけど書いてたら、勝手に2人で衝突してしまって、どうしよう・・・と思ってたらウソップが止めてくれてホッ・・・とか(笑
 なので、少々行き当たりばったりな感が否めない出だしになってしまいました。
 2部までは大体ストーリーが出来てたので書きやすかったのですが、これから先はちょっと難産しそうです^^;

 展開上当分はゾロ視点になるかな?と思われます。
  
 
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