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Sirius17

2011.06.28 08:37|Novels
Sirius17
 結局、船長に促されるままにパンケーキを焼き続けていたら、結構な量が出来てしまっていた。自分も数枚口にしたが、残りを船長1人に食べさせるにはやはり量が多く、他の皆にも差し入れてやろうとサンジは数枚の皿にパンケーキを取り分けた。
 もしかしたら、少々焼きすぎてしまったパンケーキこそが、この船長の狙いだったのではないかとサンジはふと思った。俺はいつもこの時間にはこう言う風にオヤツを作って他の仲間達にも差し入れていたのだろう。
 この船長は俺にそのことを教えようとしたのかもしれない。ただ露骨にはなりすぎない形で、普段通りに振舞ったに過ぎなかったのかもしれないが、他の仲間達が俺に対してどこかぎこちなく余所余所しい態度でいる中だからこそ、特に不快な感じはしなかったし、こう言う風にさり気に道を指し示してくれることはむしろ今のサンジにとってはとても嬉しく在り難いことだった。
 こうなると、この船長が俺に狙ってパンケーキを作らせたのかどうかなんてどうでも良くなってくる。そんな計算高い性格にも見えないので、もしかして本気で素でやっていることなのかもしれない。
「それ、皆に持っていくのか?」
 口いっぱいにまだパンケーキを頬張りながら聞いてくる船長に俺は「ああ」と頷き返した。瞬間、物足りなそうにその顔がジッとサンジの手の上にあるパンケーキに向かったものだから、これは本当の天然なのかもしれないと、どこかで可笑しい気持ちが込み上げてきた。
「これ以上食べたら、夕飯入らないだろう?」
「いや、俺はゴムだから入るぞ!」
 よく分からない言い訳をしてくる船長にサンジは「駄目だ!」と強く念押しして、弾むような足取りでキッチンを出た。この船での自分の役割を漸く見つけることが出来たみたいで、また自分にも出来ることのあることが単純に嬉しかったのだ。
 俺がパンケーキを持って顔を出すと、デッキ上のテーブルに座って本を読んでいたロビンと、日誌をつけていたらしいナミは驚いたような顔をした。
「これ、サンジ君が作ったの?」
 尋ねてくる声に頷き返せば、2人の女性の顔が笑みを刻む。
 直ぐにサンジの持ってきたパンケーキを口に運んで、あの船長と同じよう「いつものサンジ君の味ね!」と嬉しそうに口にした。ふと飲み物がないことに気付いて、サッとキッチンに戻り紅茶の用意をして再び戻ってくると、やはり2人は嬉しそうな顔をしてくれる。妙に心の中が温かくなる。
「ところで、この材料どうしたの?もしかして冷蔵庫開けた?」
「あ、ごめん。勝手に使っちゃ悪かったかな? 数字を打ち込んだら開いたもんだから・・・」
 何気なくそう口にすれば、オレンジ色の髪の少女がものすごい勢いで席を立ち上がり、俺の手を取って来た。
「サンジ君、分かるのね!あの冷蔵庫の番号は実は私とロビンとサンジ君しか知らないのよ。他の奴等は直ぐに食料荒らすから信用ならないし!だから、サンジ君なら勝手にあの中の食料使っちゃっていいのよ!それに、あそこはサンジ君の城なんだから」
 キッチンが俺の城?
 一気に捲くし立てられた言葉の中にも、やはり俺は元々この船のコックとして乗っていたのだろうことが窺える。
「あ~でも良かったわ。全部忘れちゃったわけじゃないのね。そうして覚えてることもあるんだもの。直ぐに思い出すわよね」
 その言葉に俺は曖昧に微笑み返すことしか出来なかった。俺は本当に忘れていることを思い出せるのだろうか?そもそもどうして記憶を失ってしまったのだろうか?
 そんな肝心の理由を今頃になって自分は誰にも聞けていないことを思い出した。こう言うのはやはり、あのトナカイの医者に聞いてみたほうがいいのだろうか?
 考え込んでいると見上げてくるナミの視線に気付いた。
「あ、えっと・・・俺、うまく作れるか分からないけど、夕飯も今日作りますよ」
 一瞬落としてしまった固い表情を誤魔化すようにそう口にしてみたらナミさんも黒髪超絶美人さんも少し戸惑ったような顔をした。
「本当に大丈夫?サンジ君」
 心配そうな声で言われてしまうのは、やはり彼女達なりの気遣いなのだろう。嬉しい反面でやはりそんな余所余所しさが居心地悪いな、と感じる。
「大丈夫ですよ」
 そう返して、空になった皿を回収するとサンジはそそくさとその場を立ち去った。
 


 それから他の仲間達のところにもそれぞれパンケーキを持って行ってやった。皆、反応は同じようなもので、最初は驚いたようにしながらも、それでもパンケーキを口にして一様に嬉しそうな顔をしてくれる。
 あとパンケーキを持っていってないのは・・・と考えて、あの緑頭の剣士だけか・・・とサンジは少し途方に暮れた。
 他の仲間達には全員にパンケーキを持っていったのだ。あいつにだけ持って行かないと言うのはどうにも都合が悪いだろう。だが、どうしてかあの緑頭の剣士の前に顔を出すことが躊躇われた。
 仲間達の中では一番会話している回数が今のところ少ない相手だからかもしれないが、どうしてかあの剣士は俺が何を言っても機嫌の悪そうな顔をするのだ。そりゃ忘れてしまってるのは俺だから文句の1つも言えないが、やはりあまり居心地のいいものではない。
 それでも、あいつだけ無視をすることは出来なくて甲板上を探してみれば、やはり壁に背を持たれかけさせてあいつは眠りこけていた。
 眠っているところを起こしてもいいものだろうかと迷って、結局起こすのは止めておこうと言う結論に至る。パンケーキはここに置いておけば起きた時に気付いて食べてくれるだろうと、床の上にパンケーキの入った皿を置こうとすれば、急にその手を掴まれてしまった。
「何だ、お前か・・・・・・」
 どうやらまた起こしてしまったらしい。
「えっと、あ、その、また起こしちまったらしいな。悪ぃ・・・パンケーキを焼いたからどうかと思って」
 慌てて説明すれば、やはり機嫌悪そうな目とぶつかる。腕は何故か掴まれたままで、皿を持ったまま不自然な体勢になってしまっている。
 緑頭の剣士は漸く俺の手にある皿に気付いたらしかったが、やはりその手は俺の腕を掴んだまま離れようとしない。何だろう、何だかこうして腕を掴まれていると、どこからともなく恐怖にも似た冷や汗が滲んでくる。
 皿を持つ手が微かに震えた。それに気付いたのか、緑頭の剣士は漸く手を放した。
「ここに置いとく」
 焦ったようにサンジは皿を床に置くと、直ぐにこの場を立ち去ろうと踵を返した。何となくこれ以上この場にいたくなかった。
 何か、言いようのない奇妙な感覚が足元から迫り上がってくるのだ。逃げるように駆け出そうとした足は、しかし再び伸びて来た手に腕をまた引っ張られ引き戻されてしまった。
「お前本当に覚えてねーのか?」
 尋ねられる。覚えてる、本当は知っている・・・と言えたらどんなに良いことだろう。これでは俺が何だか悪いことをしているような気分になってしまう。
「剣士・・・さん?それともロロ・・・いや、ゾロか?俺はお前のことを何て呼んでたんだ?いや、何て呼べばいい?」
 質問の問いには答えず、俺は改めて聞いた。それで答えにはなっただろうと思う。
 こいつは他の奴等とは違って寂しそうな顔はしない。ただ代わりにいつだって不機嫌そうに俺を見るのだ。
 尋ねるとこいつは怒りそうな気がしていたが、どこか諦めたように俺の手を離すとまた床にドカリと胡坐をかいて座った。皿の上にあるパンケーキを手でつまみあげて口に運んでいく。
「甘っっ!!」
 瞬間、そう声が上がった。もしかしてこいつ甘いものは苦手なのか?そうは思うものの、緑頭は皿の上のパンケーキを全部胃の中におさめてしまった。空になった皿を手渡された時、小さな声でさっきの返答が返った。
「どうとでも呼べ。別に俺に聞くようなことでもねーだろう。別に前のことを気にする必要はねえ・・・」
 言われてみればそうなのかもしれないと思った。俺は記憶を失う以前の自分に拘りすぎていたのではないだろうか?
 皆が不快な思いをしないように俺自身がそうして気を使って、前の自分を演じようとするから、周りも俺に対して余所余所しい態度が生まれてしまっていたんじゃないだろうか?
 そう考えると、不思議と今のままの自分でも構わないような気がしてきた。
 この船の仲間達は皆とてもいい奴等だ。記憶を失ってからの自分はまだほんの数日分での付き合いでしかないが、とても楽しく賑やかで気のいい奴等なのだと言うことは分かる。それに俺が自分の意思で今までこの船にずっと乗っていたのなら、きっとそれは悪くないものだったのだろう。
 だからこそ、あいつ等に悲しい顔はさせたくなかったのもあるが、いい加減今の自分も受け入れなきゃいけないのかもしれない。
「うーん、じゃあ・・・ゾロでいいよな?ゾロ!」
 呼んでやれば、やはり少し戸惑ったような顔で見られたが、悪くなかったのかゾロは「おう!」と頷いた。



 その日から俺は料理全般を再び任されることになった。
 コックだった頃の自分の記憶はさっぱり無かったが、その日の夕飯作りに入ってみれば体と感覚がコックとしての自分をちゃんと覚えていて、気付けば見事な料理の数々を仲間達の前に披露していた。
 作った俺自身がその手際の良い腕前に驚いてしまったほどだ。こう言うのを自画自賛と言うのか?
 それに皆はやっぱり俺の料理を嬉しそうに食べてくれる。俺の味だと言って喜んで平らげてくれる。そのことが純粋に嬉しかったし、同時に俺は以前も今も変わらない俺なのだと思えた。
 そうしているうちに結局朝から晩まで日がな料理のことを考えて過ごす日々が多くなった。以前の俺もこうして毎日を過ごしていたのだろうか?
 勿論オヤツも欠かさず、不寝番の奴には夜食を作って持って行く。
 以前の俺が恐らくそうしていたからだ。キッチンに立つようになって、ふと目についたノートを手に取ってみればそこには細かな調理の詳細が書かれてあった。
 現在ある食料の在庫チェックから、その配分方法。航海が長くなった時のために長持ちする保存食の作り方から、調理法、保存法の類まで完璧にそのノートに詰め込まれていた。
 しかもご丁寧に各仲間達の食物の好みや苦手なものまで書かれてあったものだから、何も覚えていないサンジはとても助かったのだ。
 今の自分の字と、ノートの字を比べてみると、どうもこのノートは記憶を失う前の俺が書いたものらしかった。筆跡は完全に俺のものだ。・・・となると、よっぽど以前の俺はコックとしての仕事に誇りを持っていたんだなと知ることが出来る。
 その反面で、このノートの存在は少々不自然な気もどこかでしていた。この記述の細かさは、元々俺がコックだったと言うのなら、俺さえ居れば不要なものではないだろうか?
 レシピの1つ1つにしても、今の俺でも覚えているような基本中の基本から丁寧に記されている。要は誰が見ても分かるように書かれているのだ。
 これではまるでいつ自分がいなくなってもこの船の皆が困らないように・・・と言う目的で書かれたノートのようにも思える。勿論以前の自分の考えていたことなど、今の俺には露ほども分からないのだが、俺はこのノートを見つけた時、もしかして以前の俺は自分の記憶がこうして失われることを事前に察知していたのではないか? と言う馬鹿馬鹿しい考えまでそのうち出てきた。
 それこそ単なる偶然だろうと片付けていたサンジだったが、その日はとても天気が良く男共の間で一気に洗濯物をしてしまおう!と言うことになり、ロッカーの中を探っていたサンジはスーツのジャケットの内ポケットからあるものを見つけた。
 煙草だ。
 そう言えばやけに気分が落ち着かない、何だか口元が寂しいような、物足りない気がしていたかと思えば、これだったのか!と思い、煙草を口に銜え火をつけてみれば、一気に気分がスッとした。
 暫く洗濯のことも忘れてロッカーに凭れかかり煙草を吹かせていたサンジだが、ふとその煙草ケースの中に煙草ではない何かが入っていることに気付く。取り出してみるとそれは小さく折りたたまれた紙で一見すると単なるゴミのようにも見えるのだが、この中に敢えて入れておいたってことは何か大切なものなのではないかと思い、サンジはその紙を開いてみた。
 そこには、キッチンにあったノートの記述と同じ筆跡で文字が書かれている。
”俺が俺を判別出来なくなったら直ぐに船を下りろ。予告する者に耳を貸すな”
 一体何のことだか分からない。だが、最初の記述の「俺が俺を判別出来なくなったら」と言うのは、正に今の自分のことを指しているのではないかとサンジは思った。
 記憶を失っている自分は、今自分自身を判別出来ているとはきっと言えないだろう。
 単なる偶然か・・・それとも、記憶を失う前の俺はやはり予めこうなることを分かっていたのではないだろうか?あのキッチンにあった丁寧に纏められすぎたノートといい、煙草ケースの中に隠すようにしてあったこの紙切れといい。
 これでは以前の俺が、今の俺に向けて何らかの警告を示しているようなものだ。
 仲間達に相談してみたほうがいいのだろうか?と考えるが、どう説明したらいいのかも分からなければ、以前の俺がこうして今の俺に密かなメッセージを残すぐらいなのだから、以前の俺は仲間達に何一つ相談していなかったのではないだろうか?
 仲間達には言えないから、敢えて俺は俺にこの言葉を残した。あのノートは俺がいなくなった時にこの船の仲間達が無事に航海を続けていけるようにと言う願いと共に、暗に俺に宛てた、そこに在る不自然さに気付けと言わんばかりの隠れたメッセージではないだろうか?
 ・・・となると、俺はもしかしたらこの船の仲間達を、自分のことに巻き込んでしまいたくなかったのかもしれない。
 それにしても、「予告する者」とは何のことだろうか?さっぱり心当たりがないが、俺は俺に直ぐに船を下りろと言っている。
 次の島に着いたら直ぐにそれを実行すべきだろうか・・・。
 グルグルと考えていると、表の方で一向に来ない俺を急かすルフィの声が聞こえた。俺は慌てて紙切れを煙草ケースの中に再び戻すと、今着ているジャケットの中にそのケースごと突っ込んで外に出る。
 いい天気だ。雲1つない。折角だからシーツなんかも全部洗ってしまいたい気分になる。
 綺麗に洗った真白いシーツは清潔感に溢れ、日の良い匂いがして寝る時にとても気持ち良いのだ。
 白い、白い・・・白い・・・雲1つない空にシーツの白が翻った・・・そんな光景をほんの少し前にも見なかっただろうか?急に強い風が吹き付けてきて、それは怖いぐらいの音を立てて、まるで泣き声のように唸って、誰かの声になって。
(嵐を呼ぶ・・・・・・?)
 ドクンと鼓動が強く鳴った。
 俺は今何を考えただろうか?頭を強く振る。
”俺が俺を判別出来なくなったら直ぐに船を下りろ。予告する者に耳を貸すな”
 紙に書かれてあった内容をもう一度思い出す。何だかとてつもない焦燥に駆られる。俺はもしかしてここにいてはいけないのではないだろうか?
 今直ぐにでも船を下りなければいけないのではないだろうか?
 一気に落ち着かなくなって、中毒症状のように胸元を探って煙草をまた1本取り出して口に銜えた。ニコチンを肺に送り込むと、頭の中でモヤモヤした感じが幾分か和らいでいく。
 取り合えず、次の島に着かないことには船を下りるも何も、行動にも移せないわけだが・・・。
 煙草の煙は雲を作るように上空に昇っていったが、当然雲になる前に風に煽られ霧消してしまった。 
 
 
 その日の夜はいろいろ考えてしまうせいかなかなか寝付けず、サンジはこっそり男部屋を抜け出した。
 夜だからと言うだけではなく、ほんの少し肌に吹き付けてくる風に凍てついたものが混ざっている気がする。もしかしたら島が近いのかもしれないな・・・とサンジは思う。
 夜の甲板に出て、縁に腕を預けて夜の海を見ながら煙草を吹かせば水平線の延長上にある夜空に浮かぶ満天の星が目に入った。その中でも一番明るい星がやたらと目につく。
 青い星で周りの星に比べるとやけに光が強い。
 カツンと音がして振り向けば、黒髪超絶美人さんがいつの間にか俺の後ろに立っていた。
「ロビン・・・さん・・・」
 ・・・と名前を呼べば、何がおかしかったのか笑われてしまった。
「あなたが私のことをそんな風に呼ぶのなんて始めて聞いたわ」
 言われて首を傾げる。ナミさんのことはナミさんで構わないようだったので、その流れで同じ女性であるこの人のこともさん付けで呼んでいたのだが、どうやら以前の俺は違ったらしい。じゃあ、何て呼んでいたのか?と尋ねれば、その人は人形のように整った顔に綺麗な笑みを浮かべて、ちゃん付けで呼んでたかしら!と口にした。
「ロビンちゃん?」
 呼んでみると、自分より大分年上の女性に対してだと言うのに、さん付けで呼ぶよりはしっくり来た。
「眠れないのかしら?何か考え事していたようにも見えたけど」
 そう言えばこの人とこう言う風に2人っきりで話すのは、記憶を無くして以来始めてだな~とサンジは思う。確か彼女は考古学者だと言っていた。
 この船の中では誰よりも頭がいいのだと、最初の頃にチョッパーが教えてくれた。なので、彼女が星のことにまで詳しいかどうかは分からなかったが、ふと気になった青い星のことを聞いてみようかと言う気にサンジはなった。
「あの青い星・・・名前を知ってるかな?」
「気になるの?」
「え、ああ・・・何となく・・・何だか・・・・・・」
 何かを言いかけたがうまく言葉にならず中途半端に言葉を切る羽目になってしまった。ロビンはそんなサンジの葛藤を知ったように横に立ち、同じよう空を見上げて言う。
「シリウスね、あれは。全天で尤も明るい恒星でどこにいても直ぐに探せるから道に迷った時には目印になる星よ」
「シリウス・・・・・・」
 サンジは口の中で今教えられた星の名前を小さく繰り返してみた。知っている気がする。だけど、それは星なんかではなく・・・・・・。
 チリッと前髪に隠れた左目が痛んだ。思わず髪の上から手を当てると、聡く気付いたロビンが「痛いの?」と聞いてくる。
 痛みが走ったのはその一瞬のことだったのでサンジは直ぐに首を振った。しかし、ロビンの顔にはまだ心配そうな表情が張り付いたままだ。
「意外と星に興味があったのかしら?」
 しかし、ロビンはそれ以上問いただすようなことはしなかった。話を元に戻される。
「星に興味と言うよりは・・・・・・」
 また途中で言葉を切ってサンジは再び夜空で一際明るい輝きを放つ青い星を見上げた。
「・・・・・・何だかあれを知っている気がするんだ」
 不思議な感覚だと思った。思考はぼんやりとしていて何を自分が言ったのかよく分からないのに、妙に意識が鮮明になっていくような矛盾した気持ち悪さ。
「シリウスは旅人の目印になる星だから知っていても不思議はないわ。だけどコックさんの言う知っているは、もしかして気になる・・・の意味合いの方が強いんじゃないかしら?」
 言われて、サンジは確かにそっちの感覚の方が強いのかもしれないと思った。
「ああ・・・そうなのかもしれない。誰かが・・・呼んでいる気がする」
 自分でも無意識に続けてしまった言葉に、ロビンが訝しげな顔をするがそれ以上続けてくる言葉はなかった。ロビンはサンジが落とした言葉の1つ1つに、今回このコックさんが記憶を失ってしまった原因が隠れているのではないかと思っていた。
 それは医者であるチョッパーがあれだけ熱心にその原因を探っているにも関わらず、なかなか確信に辿り着けない様子なのを見て、ロビンは外部的な何かの可能性を危惧してたのだ。そして今、確かにその片鱗が見えたとロビンは確信していた。
(何か良くないことがまた起こらなければいいんだけど・・・・・・)
 サンジの吹かす煙草の白い煙が夜の黒に滲んでいく。サンジはその空に在るシリウスをずっと眺め続けていた。 




 あとがき-------  
 
 ちょっと中途半端ですが、取り合えずここで第一部完・・・と言う形にさせていただきたいと思います^^;
 ・・・じゃないと、ちょっと長くなりすぎる・・・(苦笑)
 第二部はタイトルを変えて、またこの続きから書いて行きたいと思います。
 書き始めはここまで長い話にする気は全くなくて、深い展開もあまり考えていなかったんですが、気がつけばいろいろと強引に捻じ込んでしまっていました。
 元々はただゾロとサンジの馴れ初めを鬼畜展開(ん?)で書きたかっただけ(笑
 
 人は失うことと得ることを繰り返しながら生きていくものだと思っています。
 何かを失ってしまっても、また新しく得ることもある。新しく得ても、また失っていくものもある。
 同じように見える毎日の中にも、少なからず些細な変化はあって、そう言う連鎖を続けていく中でそれぞれが最終的にどう言う答えに辿り着くのかは、またその人自身の他にないただ1つだけの結論であり人生観であって。
 そんな感じを極端にストーリーにしてみたかった結果がこれって何?(爆
 ただ1つ言えることは、何かを失ったとしても、何かを得たとしても、どんなに変わったように見えても、根本は皆最初のまま変わらないその人自身だってことで、変わってしまうのは周囲であり、そう決め付けていく自分の心なのかもしれない。
 
 何のこっちゃ・・・って感じですね。
 やたらハイペースでここまで書かせていただきましたが、元々大体のストーリーが頭の中で出来上がっていれば、執筆は割りと早い方です。
 つまりノリにノリまくってる時は早いんだけど、のらなくなっちゃうと全く書かなくなる。
 文章自体をこうして書くことには数年ブランクがあったので、以前のようにうまく書けるか分からなかったのですが、やはり好きだなーと言う気持ちは何よりも力になりますし、あの頃よりもうまく書けなくったって、元々下手なんだから下手なりにゾロサン好きだああああって気持ちだけあればOKだろう的な強引な思考に結び付けました。
 そんな中でもやはりコメントいただいたり拍手いただいたりすると、とても嬉しくて、更新する元気に結びついてますvありがとうございます。


 余力がこのままあるようだったら、今後も1日1話ペースで更新できたらいいな・・・と言う無謀な願望(笑)
 ただ、ちょっと仕事が忙しくなってくると無理が入るので(今は実は年間で一番暇な時期なんです^^;夏休み入ると忙しくなってくる;;ひぃぃぃぃぃ;;)書けるうちに書けるだけ書きたいなーと思います。
 第二部は益々ドロンドロンに・・・ん?何か違うか・・・えっと、まあ、取り合えず記憶無くして素っとぼけなサンジのギャグっぷりがバンバン見れるのではないかと?(ええぇえぇ
 ゾロが割りと今でしゃばらずにムッツリ(爆)を決め込んでますが、あの人、頭の中はサンジのことをどうすればいいのかで一杯なのでもう少しマリモさせるつもりですが、動き始めたら強引にも滅茶苦茶やる人だと思っています(どんな予告だ
 
 それでは長い連載、ここまでお付き合いくださりありがとうございました。   
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