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黒か、白か

2013.06.11 13:15|Novels
ゾロサン+ローサン+背後にドフサンと言う救われない話です。
R指定ご注意ください。
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「お前は黒か白か?」


 一体何年前に言われた言葉だっただろう。


 何色にも染まらない黒と、どんな色にも姿を変えることの出来る白と。
 俺と言う人間を表現するのには、どっちがしっくり来るのだろうかと、瑣末なことを考えた。

「集中しろ!」
 腰を引き寄せられ激しく打ちつけられる。
 いいところに狙ったよう届き、思わず声が出そうになるのには耐えたものの、喉を仰け反らせて荒く息を放った。
 中心を握り込んでくる大きな手の感触にも随分と慣れた。剣ばかりを毎日飽きもせず握っているせいで、皮膚の固くなったゾロの手はある意味で、男にとって一番敏感な場所にザラザラゴツゴツとした独特な感触を与えてくれる。
 女性の柔らかく小さな優しい掌では決して齎されることのない、荒々しく豪快な愛撫は、より刺激的だった。
 痛いほどに張り詰めて今にも暴発しそうなサンジのそれと同じよう、ゾロのものもサンジの中でいっぱいに存在を主張した。
 ギチギチと音さえ聞こえそうな程、隙間なくぴったりと自分の尻に嵌まり込んだそれを想像すると、体が熱くなる。
 その熱さがドンドン加熱していく行為から派生し続ける快楽のせいなのか、何度体を重ねてもそれなりの羞恥心が自分の中に残るせいなのか分からない。
「何を考えてる?」
 低い声が背中の方からかかった。
 四つんばいになって腰をゾロに掴まれ、突き出した尻にゾロ自身を穿たれていたサンジは頭を垂れて浅く、しかし速度の速い呼吸を何度も繰り返す。
「何って・・・・・・お前のこと・・・だろ? ・・・・・・それ以外考えられっか・・・こんな時に・・・・・・」
 全力疾走した時に一気に吐き出した空気を求めて繰り返す胸の上下運動の要領で。
 肺が痛い。
 喉の重苦しさを感じながら押し出した自分の声が、掠れ喘ぎのような色を持ち、自分のものではないように思えた。
「嘘を吐け」
 この男は、一体俺の何を見て、何を感じ、簡単に俺の言う事を嘘だと決めつけるのだろうか?
 俺の何を知っていると言うのだろうか?
「嘘じゃ・・・ねえ・・・・・・よ・・・っ・・・あっ!!!」
 ゾロの苛立ちが更に激しく体を揺さぶられることで、分かった。
 何をそんなに苛立っているのか。
 互いの呼吸が荒く絡まり合う。
 戦いで重症を負った時にも似た、今にも途切れそうな、だけれども激しく荒い乱れた呼吸の絡まりだ。
 深呼吸するように口を大きく開き、空気を取り込む。
 少し喉が冷えて、胸で存在を増していた鼓動がいつものリズムを取り戻そうとする。
 だが、刹那に体をひっくり返されて、床に押し付けられた。
 中に入り込んでいたゾロ自身が、そのままぐるりと回転し、腸壁を抉っていった。
 思わず嬌声を上げたサンジに満足したのか、ゾロ自身が益々膨張する。
 馴染んでいた感覚が痛みに変わる。
「でか・・・い・・・んだよ、アホ・・・・・・」
 歯を噛み締め、眉を潜めた瞬間にサンジの中心を握り込んでいた手が離れ、今度は頬を撫でてきた。
「あんまり俺を煽るな・・・怒らせるな・・・・・・」
 サンジは首を振った。
 俺はお前を煽ったつもりも、怒らせたつもりもない。
 訳が分からないと吐き捨てようとしたら、唇を重ねられた。
 呼吸が溶ける。
 俺達に離れている部分など一切ないと教えるように、口も、肌も密着して。俺の尻とゾロの肝心なあれは繋がりあったまま。
 足の指先までぴったりと触れ合い重なって、熱さえも、存在さえも融合していくように感じられた。

「逃がさねえ」

 離れた唇の隙間でゾロが唸るように言った。
 高く持ち上げられた足を肩に掛けられ、剥き出しになった白い腿にゾロが唇を寄せる。


****

「足を見せろ」

 全く、昔から愛想の欠片もない奴だったが、そう言うところは一切変わっていないらしい。
 そもそも、幼い頃から目の下に刻まれていた不健康そうな目のクマまで、未だにその存在を見せており、頭に被った帽子は手触りの良いふわふわもこもことしたものだ。
 冬島だったり、ノースだったりと気温の低い場所では被っていてもそう可笑しくないものだが、流石にそこそこ温暖な気候の場所で被る帽子にしては、そいつのファー状の帽子は若干違和感がある。
 どんな思い入れがあるものなのかサンジは知らないが、少なくとも、ふわもこ帽子の男・・・ローにとって、帽子は案外大切なものなんだろうと言うことだけは知っていた。
 昔は単純に髪か頭にコンプレックスがあるのだろうかと考えていたが、帽子を脱いだローの頭に可笑しな部分は見当たらない。
 禿げもなければ、頭の形が悪いわけでもない。髪を切り過ぎたとか言う可愛い理由などもなさそうだった。
 ゾロが剣をいつも傍に置くのと同じようなものなのかもしれない。
 そう言えば、特殊な悪魔の実の能力持ちであるために忘れがちだが、この男も一応剣使いではあるのだ。
 剣士となれば、誰彼構わず殺り合ってみたいと言う感覚の持ち主であるゾロと衝突しなければいいが・・・なんてことを煙草を吹かしながら呑気に考えていたら、そのローに声をかけられた。
 はたまた、そう言えば、こいつ医者だったっけ・・・と思いだす。
 チョッパーの目は今のところ誤魔化せているのだが、外科医を名乗るだけに流石にその目は鋭い。
 当然チョッパーが医者としてこいつに劣っているわけでは無いと思う。チョッパーは医者としていい意味で素直なのだ。
 そして、こいつは医者として悪い意味で素直だ。
「これぐらい何でもねえよ」
 ヴェルゴとか言う奴とやり合った時に骨を少し痛めた感覚があったのだが、それも小さな罅程度のものだ。
 サンジの行動を縛るものにはなり得ない。
 サンジが足を庇うような仕草を見せたわけでもないのに、一体こいつは俺の何を見て、足の怪我を指摘してくるのかと考えたら、案外能力で透視でも出来るんじゃないかと言う気になってきた。
 トントンと、足を床に軽く打ち付けてみせたサンジを見て、ローがふと唇の端を上げる。
「違う。そこじゃねえ。俺は腿を見せろと言っている」
 腿?
 そんなところを怪我した覚えはない。
「早く脱げ!」
 手に持っていた大太刀の鞘をサンジの腿の部分に押し付けてくる。
「ここでか?」
 場所はサニー号の甲板上。多少人目につきにくい船尾辺りとは言え、日の光の下、海を渡る風を感じる中で下半身を剥き出しにするのは抵抗がある。
 野郎はともかくレディに見られたらどうするんだか。
「お前が脱いだら俺も脱ぐ」
 ポカリと頭を殴られた。
「可笑しなことを言ってないでさっさと見せろ」
 相変わらず。本当に相変わらず強引な奴だ。
 普段はポーカーフェイス。感情を表だって表情に見せたりはあまりしない。
 自分のテンポを乱されることを何より嫌い、沈黙で成り立つことの多い会話の裏側で、本当に一体何を考えているのやらと、サンジは過去に何度も首を傾げた。
 結果として、ローと言う人間の言動を注意深く観察する羽目になったのは、やはりずっと前。
 俺もローもガキの頃の話で、今となっては記憶に薄いノースで暮らしていた頃のものだ。
 そのローが、自分の前だけでは、ほんの少し他の奴等の前で見せる態度とは違ったものを見せることがある。
 あいつと同じ・・・か・・・。
 そんな自分だけに向けられる態度の変化がちょっと嬉しいなんて感情は、幾つも派生させるものではない。
 一度言い出したローは頑固だ。
 仕方がないので、丁度真後ろにあった食料庫に入り込み、言われたままにズボンを脱いで剥き出しになった足を、見せつけるよう上げて、ローの後ろの壁につけた。
「何か文句は?」
 ローに主導権を握られるのは腹が立つ。
 それはゾロが相手の場合も同じだ。
 だから、常にサンジは堂々と振る舞うことを意識する。
 ローの指がサンジの太腿の内側についた痕をなぞる。
「キスマークか・・・」
「まあな」
「足をあげた際の動きが不自然だ。腰と尻・・・腸内も多少痛めてると見た」
「分かってんなら、見るまでもねえだろう」
 壁についていた足を下ろし、床に落ちたズボンにまた足を通す。
「浮気か?」
 表情の変化なく、怒りも幻滅した態度も、寂しさも見せずに淡々と義務のよう訊いてくるローにサンジは嫣然と笑んだ。
「仕事に決まってんだろ? この船の奴等はお前の目には単なる呑気で陽気なバカ共に見えるんだろうが、中には厄介な奴もいる。常に周りに気を配り、少しでも不審な動きを見せたら問答無用で仲間であるからこそ斬り捨てようとしてくる奴がな・・・」
「そうだとして・・・体で落とすなんてことを誰に習った?」
 ズボンを持ち上げベルトを止めようとすれば、その手を押さえられた。
「テメエも焼きもちなんて妬くことあるんだな」
 珍しい。
 本当に珍しいものを見たとばかりに、サンジはローの顔を見上げる。
 ルフィのテンションに振り回されているローも可笑しかったが、それとは別の色を見せているローもそれなりに可笑しい。
「皺が出来てるぞ」
 ちょんと眉間を指で突いてやれば、呆気にとられたような顔になった。
 その顔がやっぱり可笑しくて噴き出すように笑えば、
「悪いのか?」
 ・・・と、不機嫌そうな声が直ぐに落ちた。
「いや、そう言うところ・・・」
 少しだけ考えて、言葉を選んで、結局最初に思い浮かんだものを口にする。

「好きだぜ」

 そう言ったところで、ローは決して喜んだりしないことも知っている。




***

 パンクハザードを出てからの急展開。
 サニー号には同盟を組んだハートの海賊団キャプテンであるトラファルガー・ローと、今からの取引き相手である王下七武海、ドフラミンゴを強請る人質であるシーザー・クラウンを乗せている。
 そして、旅は道連れ、世は情け。そんな言葉が似合いそうな侍の親子まで乗船しているのだから、そんな時にまさか行為目当てで呼び出されるとは思わなかった。
 ただでさえ仲間以外の奴が乗り合わせ、事態も緊迫している中、男と言うものはどうしてここまで己の性欲に忠実なのだろうか?
 それともこう言う時だからか? と、サンジはゾロのところへ向かう。
 流石に勘弁してくれと断りを入れるつもりだったのだが、サンジがそう言うことを行う場所として定着してしまった展望台に足を運ぶと問答無用で押し倒された。
「おい、待て! 今そう言う状況じゃねえだろう!!」
 そう言いながらも、済し崩しにサンジは昨日もゾロに抱かれてしまっている。
 幾らゾロがハードなトレーニングを繰り返すために床が抜けることのないようマットの敷かれた展望台兼ジムとは言え、その床に勢いよく突き飛ばされれば多少なりとも下に音が響く。
 派手な音をさせて床の上を転がったサンジの動きを封じるよう、全身の体重をかけてくるゾロを蹴り上げようとしたら、足首を掴まれた。
 思わず顔を歪めたサンジを見下ろすゾロの目がいつになく冷たい。
「おい、乱暴にすんな! 流石に気付かれんだろう!!」
 昨日からゾロの機嫌が悪いことには気付いていた。
 こう言う時のゾロには大人しく抱かれてやるに限る。
 抵抗する意思はなく、自分もゾロを求めているのだと教えるようにサンジは体の力を抜いた。
 見上げて、いつものように「仕方がない奴だ」と笑って、「来いよ!」と促す。
「テメエ、何を隠してやがる?」
 しかし、サンジを真上から見下ろすゾロの目は冷たいまま、腹の底に響くような声にも怒りが篭っていた。
「何って、何のことだよ・・・俺は何も・・・・・・」
「嘘を吐くな!!!」
 一気に衣服を剥ぎ取られる。
 2年前から丁寧に服を脱がすなんて繊細なことが出来る奴ではなかったが、お気に入りのシャツのボタンが弾けて飛び、ベルトは強引に引きちぎられた。
 強姦魔かよ、テメエは・・・と、思わず言いだしたくなったが、口にする前にサンジが上げたのは悲鳴のような嬌声だ。
「うあっ!!!」
 足を持ち上げられたのまでは分かった。
 幾らゾロの機嫌が悪く、常々荒々しい抱き方しかしない奴とは言え、それでも抱く相手を無理に傷つけるようなことはしない奴だとサンジは認識していた。
 その認識を一気に覆されるよう、慣らしてもいないそこにゾロのものを根本まで押し込まれたのだ。
 指で慣らされもせず、濡れないそこに突っ込まれたのは初めてのことのような気がする。いつも行為に入る時は互いの愛撫から入り、十分に気持ちが高まったところで、挿入して激しく腰を打ちつけ合うものだ。
 それが、本当に挿れて、手っ取り早く済ますだけの強姦みたいな行為に成り代わり、サンジは驚いた。
「全然集中してねえじゃねえか!!!」
 昨日も言われたような気がする台詞を再び繰り返される。
 昨晩もやっている。濡らさず慣らしてもいないサンジのそこは、昨晩の名残で多少の柔らかさを保ち、何とか強引なゾロの侵入を受け入れはした。
 だが、気分も盛り上がっていなかったところでの行き成りの挿入は正直、痛みしか齎さない。
 苦しく辛い。
 しかも、ゾロはサンジの身動きを封じるように足首を強く握り締めている。
 この野郎・・・俺の怪我に気付いてやがったのか・・・・・・。
 答えないサンジに焦れたのか、もう一度ゾロが繰り返した。
「何で集中しねえ」
「そりゃテメエがいつもより乱暴に・・・・・・」
 軋む。
 腸内に熱い飛沫が放たれ腸壁を激しく打ちつけた。
 ギシギシと。
 また体ごと揺さぶられる。
 一度放たれたはずなのに、ゾロのそれは萎えずにサンジの中を一杯に満たしていた。
 なので、中で放たれたものが外に出てくる手段を持たず、零れ落ちるのを許さない。そのまま吸収しろと言わんばかりに、孔を塞いだままでいる。
 ギシリ・・・と、また軋んだ。
 サンジは全身の力を抜いてゾロから齎されるものを受け入れていたが、ふと、その軋みが自分の体から発せられるものじゃないと気付き、思わず体に力が入る。
 力が入った瞬間を見計らったかのような絶妙なタイミングでゾロが握り込んでいた足首に更に力を入れた。
 激痛は、足のものか、それとも腰の骨を砕かれそうな程の打ち付けのせいなのか分からない。
 ギシリ、ギシリと、船が揺れる。
 ああ、誰かが上ってくるのだ。ここへ。
 それが誰かなど、考えるまでもなく分かった。
 あいつしかいない。
 そう言えば、今日の昼間あいつと話した時、少しあいつらしくないと思っていたのだ。
「やっと来たか」
 ゾロの口から漏れたその言葉に唇を噛み締めた。
 乱暴な行為は全てゾロのフェイクだ。俺と関係を持つ誰かをあぶり出すために、わざと激しく、露骨に行為に及んだ。
 少しぐらい俺達が夜に暴れていたところで、仲間達は誰も気にしない。俺達は日常茶飯事に喧嘩を繰り返してきた。
 2年前から俺達の仲の悪さは仲間内では周知の事実で、今更激しい取っ組み合いに茶々を入れてくる奴はいない。
 サンジはゾロの顔を見上げた。
 ああ、こいつも、あいつと同じで感情が読みにくい奴なのだ。
 だけど、怒りだけは分かりやすい。
 そんなに怒るほど、いつの間にかこいつは俺のことを好きになっていたらしい。
 でも、可笑しいだろう、それは?
 最初に声をかけたのは俺で、お前はそんな俺を嘲るように抱き始めて、単なる処理で。俺がどんなに好きだと主張しても、取り合わない。
 それがゾロだったはずだ。
 そして、俺も、ゾロと寝るのは仕事の一貫だった。
 ローもそれは分かっているはずだ。
 今更お綺麗な愛などローも求めるタイプではないはずなのに。本当に一体2人してどうしたと言うのだろうか?
「離してもらおうか。それは俺のだ」
 下から上がってきたローが、まだ繋がったままのゾロとサンジを平然と見下ろしていた。
 サンジの足首を掴んでいるゾロの手を引きはがそうとしてくるローの手にゾロは抗いながらも、見せつけるようにサンジを揺さぶった。
「ロー!!!!」
 サンジは、ゾロではなく、咎めるようにローの名を呼んだ。
 ローは卑猥な格好のまま好き勝手貫かれているサンジに視線を向け、薄く笑う。
「自分でも驚いている。俺がこんなにも独占欲が強い人間だったとはな」
 そうだ、これは仕事なのだ。
 麦わらの一味に忍び込め。忍び込んでその情報を流せ。
 俺にそのことを命じたのはローで、そのための手段は俺に任せると言ったのもローだった。
 だから、これは浮気だとかそう言うものではなく、やっぱり仕事の一貫で、ローには分かってもらえているものだとばかり思っていた。
 ローの笑みは怖い。
 普段が感情を滅多に表に出さない男だからこそ、笑いや怒りを顕著に見せてくる時と言うのは、世間での通り名の通り、彼の残忍性が強く出る時に限る。
 ローの口から次に出てくるだろう言葉にサンジは怯え、その怯えに気付いたゾロがサンジの体を掻き抱いた。
 繋がったまま体を持ち上げられ、ゾロの上に跨って座るような形になったサンジはそのままゾロの肩に顔を押し付け、背中に腕を回す。
 そうせざるを得なかった。
「そいつは俺側の人間だ」
 そうすることでローの顔は見えなくなった。ゾロの顔も見えなくなった。
 ただ声だけがサンジの耳に届く。
 ゾロの肩に押し付けた顔を上げることはせず、サンジは懇願するようにやはり声だけを押し出す。
「やめてくれ・・・ロー・・・・・・。俺はこいつの恋人なんだ・・・俺達は付き合ってんだよ・・・・・・」
 苦し紛れの言い訳が、自分でも滑稽だと思った。
「足の怪我に付け込むようにして、お前を労りなく無茶苦茶に抱くような奴のどこを恋人と言う?」
 お前だって似たようなもんだろう・・・とサンジは突っ込みたくなったが、それどころではない。

 俺には関係を持っている2人の男がいた。
 1人は同じ船の仲間であるゾロ。そして、もう1人は同郷で幼馴染でもあったロー。
 俺はゾロの恋人で、ローの恋人でもあった。
 同時に・・・・・・。
「そろそろ返してもらおうか?」
 ゾロからサンジを引きはがそうとしてくるローの手をゾロが跳ねのける音がした。
「何のことだ?」
 ゾロの台詞が痛い。 
「もういい、サンジ。目的はもう果たした。お前がこれ以上麦わら屋の船にいる必要もなければ、この男に抱かれる必要もない」
 ローが淡々と状況をゾロに説明するかのよう、言った。
 ゾロは気付いていたのだろうか? 俺が、ローの派遣した間諜であることに・・・?
 気付いたからこそ、罠にはめるよう、ここ数日俺を激しく抱いたのだろうか?
「どう言うことだ?」
 しかし、ゾロの問う声はどこまでも不思議そうである。
 知らなかったのか? 知らなくて、分からなくて、それを知ろうとして、俺を強引に抱いたのか?
「パンクハザードで俺とお前等が会ったのは単なる偶然だと思うか?」
 ローの言うことこそが、俺の真実であり、俺の嘘だ。
 そうだ。偶然なはずがない。
 そんな風に世の中はうまく出来ていない。
「誰かがお前等の行く先の情報を流していたと思わないか?」
 トドめだった。




***


「他の男に抱かれた後の男を抱くのは気持ちが悪い」
 ローの言葉は容赦がない。
 極端な潔癖症と言うわけではないが、ある程度細かい男だと言うことは知っている。
 それでも、ローの言う通り、俺だって誰かの男のものを中に残した奴を、その直後に抱くのはやはり気持ちが悪いだろうと思った。
 なら、全部ゾロのもんを掻き出してくれればいいのにとサンジは思ったが、そうせずに、ゾロのものとローのものとを俺の中でぐちゃぐちゃにかき混ぜて残すことこそ、俺への仕置きの一部なのだろう。
 残忍・・・。
 そうだ。こいつは、自分を裏切った男に対して容赦がない。
 そして目的のためなら、自分をどこまでも別な色へと変えてしまえる。
「なぁ、ロー・・・」
 ゾロから俺を奪い取り、倉庫に放り投げたローはゾロがそうしたのと同じようサンジの上に伸し掛かっていた。
 ゾロと同じよう、自分の直ぐ傍に置いた大太刀は、サンジの手が届く位置にある。
 つまり、ローはいつでもその剣で俺を斬れたし、ゾロもいつだって自分の剣で俺を斬れた。
 行為の最中に刀の感触が手に当たる度、心を許されていないような気がした。剣を直ぐ傍に置いて俺を抱くぐらいなら、最初から抱かなければいいのにと思った。
 ゾロのやり方と、ローのやり方は全く違う。
 同じ行為をしているのに、人が変わるだけで、どうしてこんなにも違ってくるのだろうか?
 与えられる感触も、順序も、熱も、呼吸も、感覚も。
 見える景色も顔も、激しさも優しさも全部違う。
「俺のもんに、あいつのものがつくのは気に食わねえな。お前が舐めて綺麗にするか?」
 下腹部に触れられる。
 少し力を加えられて押されれば、中のものが出てくるのだ。
「悪い・・・俺・・・・・・」
 ゾロのもの、ローのもの。
 混ざり合ったそれが自分の中から垂れ落ちてくる不快感を感じながら、サンジは自分の目を覆った。
「あいつが好きか? 俺を裏切るのか?」
 サンジは首を振る。
「違う、違うんだ、ロー・・・・・・」
「何が違う?」
「もう疲れた・・・・・・嘘ばかりの人生は・・・・・・」
 心の中で思わなきゃいけないはずのことを、つい口に出してしまった。
 混ざりあった粘着性のある白い液体と一緒で、それはどろどろと汚く醜い。自分自身を表すものだ。
 真実を告げたら、一思いにローは俺を殺してくれるだろうか?
 ローの大太刀は直ぐ傍にある。
 ゾロも、俺がローに遣わされた間諜だと分かった瞬間に、容赦なく俺を斬ってくれれば良かったのに。
 あれでは、何のために剣をいつも傍に置いていたのか分かりはしない。
 喉が渇く。
 ローの体の下からのろりと這い出して、サンジはローの目を見た。
 諦めにも自嘲にも似た、サンジの表情を見て、ローは俺から何かを感じただろうか?
 犀利なお前のことだ。どこかで勘付いていたんじゃないのか?
 ゾロのことだけでローがこんなにも、嫉妬心を露わにするとは思えなかった。
 怜悧狡猾。
 そんな自分を演じるように、サンジは表情を引き締める。
 告白は、好きだとか、愛してるとか、そんな生優しいものではない。
「ドンキホーテ・ドフラミンゴ・・・俺の本当の主人の名前だ」
 サンジは事実を述べた。ずっと隠していたことだ。
 ローは相変わらずポーカーフェイスを崩さない。
 ほらな・・・とサンジは思った。
 知っていたなら、さっさと殺してくれればよかったのに。
「お前に遣わされた間諜としてルフィの船に忍び込んだよう、俺はドフラミンゴに遣わされた間諜としてお前の船に乗った」
 俺がゾロにしていたことと、ローにしていたことは同じことだ。
 体を使って油断させ、恋人のポジションに居座ることで信頼を得、懐疑心を消した。
 ローはサンジが事実を告げても、サンジを直ぐに殺しはしなかった。
 代わりにサンジをその場に跪かせ、黄色い頭を鷲掴みにして自分の股間に顔を持って行く。
「笑えない冗談だ。つまり体で落とすやり方はあいつに教えてもらったと言うことか?」
 サンジは頷くことしか出来ない。
「なら、さぞかし肉体的に満足させてくれるんだろうな」
 口腔に押し込まれたローの質量にえづきそうになる。
 幾ら淡白で、そう言うことに興味が無さそうな顔をしていたって。スマートにいつだって事を進める奴だって、誰かに性的なものを強いる時は1人の男であり、獣だ。
「口淫が下手だって言うのはお前の今の言い分じゃ、許されねえ。何度も俺を気持ちよくさせろ。腸にあいつのものを残すのなら、胃には俺のものを詰めておけ。一杯になるまで止めるな」
 残忍と言うより、それじゃ単なる鬼畜だろうが・・・と、こんな時にもサンジはほんの少しローの言動を面白おかしく感じていた。
「なぁ、ロー・・・俺を殺さねえの?」
「問題ない。俺達は今から奴を倒しに行くんだからな」
 グイグイと頭を押さえつけてくるローの手により、サンジの呼吸はドンドン苦しくなってくる。
 噎せ返る。
 匂いと、光景の淫靡さと、不快な味。苦み、締め付け・・・。
「奴を倒したら、お前に選ばせてやる。俺か・・・あいつか・・・」
 ゾロは俺を斬らなかった。
 ローも俺を斬らない。
「もう、そんな資格、俺にはねえだろう・・・」
 今更・・・本当に好きだったとか、愛してたとか、そんな言葉、どっちに向けて言ったところで滑稽なだけだ。
 全部嘘にしか聞こえない。

「それでも、俺はお前が好きだ」

 ローが言う。



 それは、さっきゾロにも言われた台詞と全く同じだった。



 こいつ等本当にバカだ。
 
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