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依存性シーカー20

2013.04.18 08:20|Novels
 それにしても、たかだかチョッパーに一言何らかの注意? のようなものを受けたぐらいで、コックが俺に突っかかってこなくなったと言うのは、何となく不思議な気がした。
 確かにコックは女子供には比較的甘い奴だが、自分の意にそぐわないことを容易く認める男でもない。
「テメエらしくもねえ」
 思ったことをそのまま口にしてやれば、サンジはまだ痛むのか、手で頭を押さえて顔を顰めた。
「だけどよ・・・俺のせいでテメエのアルコール中毒がこれ以上悪化しちまうと、コックとしては名折れだろう・・・」
 その当然とばかりに返ってきた返答にゾロは苛立った。
「テメエは何かとありゃコックとしての仕事のことばかりだな」
 少々行き過ぎなんじゃないかと思うぐらいこいつはコックと言う職業にどこまでものめり込むところがある。
 仲間達の栄養管理もコックとしての仕事の一貫だと言うところまでは認めても、例えば食料の在庫が少ない時に自分だけが飯をこっそり抜いてみたり、俺が少々酒を飲み過ぎているからと言って、その緩和のために自分の体を差し出してみたりするところが、ゾロにとってみれば不可解で、とてつもなく不快だ。
 飯を抜くのも、俺に体を差し出すのも、コックの仕事には何も関係のないことのはずなのだ。
 なのに、こいつはそれをコックの仕事だと思い込んでいる節がある。
 それこそコックと言う職業に対しての依存性なのではないだろうか?
「悪いのかよ・・・・・・」
 悪い悪くない以前の話である。
「そんなにコックとして忠実でありたいのか?」
「ありてえ・・・」
 サンジは即答した。
「テメエが剣の道を曲げねえぐらいに」
 そう言われてしまえば、確かに自分も剣が関わることなら、誰にも譲れないものを持っている。
 だが、それとこれとはやはり、どう考えても違うように思うのだ。
 そう思ったゾロの思考を読んだかのように、サンジがベッドに横たわったまま手をゾロに向かって伸ばした。
 何をするのかと思いきや、ベッドの端に腰を据えているゾロの背中を指でなぞってくる。
「背中の傷は剣士の恥・・・・・・テメエが言うそれと何も変わりねえだろう? 俺はお前のその考えをバカだと思う。テメエが俺の考え方をバカだと思うのと同じ原理だろ?」
 サンジの指はゾロの背を上から下に下って、離れて行った。
 コックの言い分は例えをあげられてしまうと筋が通っているようにも思えた。
 だが、ゾロの中で燻っている不快感のようなものがそれで消えるわけではない。
 それに、ゾロはもうずっとイライラし続けている。
 ゾロは今の今まで自分の背に伸びていたサンジの腕を掴む。そのままベッドに押し付け、自分はサンジの体の上に跨って行動を塞いだ。
 足癖の悪い奴だと十分に知っているから、下半身も自分の足で封じる。
 いつものコックなら易々押さえつけられるようなことは絶対にさせないだろうが、酒のせいで頭痛と気分の悪さが残っているらしいサンジに抵抗はなく、ほんの少し驚いたような視線が真上のゾロに向かっただけだった。
「なら、今のこの行動は何だ?」
 ゾロの言っていることをちゃんと理解しているのかも怪しいとさえ思う。
 まだアルコールによる酩酊感すらもちゃんと抜けていないのだろう。
 頭痛や吐き気の中にも、うっすらとアルコールが齎すふわふわとした浮遊感のようなものを残しているような、そんなサンジの眼差しにゾロは露骨に溜息を落とした。
「俺の酒依存をどうにかしたい・・・それがテメエにとってコックとしての仕事だって言うんなら、何でそのお前が今日のような行動をとる?」
 街に下りて、酒場に入ったことまでは許そう。
 そこで、少し飲み過ぎてしまったと言うところまでも、コック自身が酒に弱すぎることを考えれば問題はあるだろうが、ゾロ自身も酒を飲みたい日ぐらいあるのでまだ認めることは出来る。
 ゾロが一番許せないのは、いくら酒が入っていたからとは言え、ホイホイその辺の男と一緒に宿に入る神経だ。
 しかも、あっさり裸に剥かれ、こいつは今にも見知らぬ男に組み敷かれようとしているところだったではないか。
 こいつは仲間内でも有名な程、女尊男卑思考の甚だしい男だ。
 女好きで、女性とあれば滅法甘く、男相手には厳しい。
 そんな奴が男であり仲間である俺に大人しく抱かれていたのは、俺のアルコール依存を何とかするためと言うコックとしての義務からだとサンジは主張する。
 では、そんなコックとしての義務など、どこにも見当たらない今回の一件は一体どう言うことだ! と声を荒げてゾロは問いただしたい。
 コックとしての義務で俺に抱かれていたのなら、他の男に抱かれる必要はないはずだ。
 だが、今コックはまさに他の男に抱かれようとしていた。
 多量に取り過ぎたアルコールのせいで、意識が瓦解していたと言う言い訳もあるだろうが、ゾロはそれを認めるつもりはない。
「お前は俺に酒を止めさせたいと言いながら、自分は酒を飲んだ。少量ならまだ言い訳も聞いてやったが、意識すらはっきりしない程の量だ。そうした理由を教えろ」
 これでもゾロは、らしくもなく十分に譲歩して、言葉を選んだつもりだ。
 当然、酒に腑抜けたコックにどんな罵声を浴びせようと、俺の相手にはならないだろうし、コックもいつものような反論はしないだろうと分かっていた。
 なのに敢えて、露骨に怒鳴り付けず、静かな口調で諭すように問い正したのは、一旦口火を切れば、ここずっと自分の中で正体を潜めるように燻っていた炎が一気に爆発しそうだったからだ。
 サンジは少しだけ首を傾げた。
 だが、こっちの水面下での熾烈な攻防など全く知らないのだと言うように、何を思ったのか眉尻を僅かに下げる。
 眉は下がったのに唇の端は微かに上がった。
 何とも言えないほど、緩んだ面だ。
 全く警戒心のない。
「だってよ、酒飲んでみりゃ、酒に溺れるテメエの気持ちが少しぐらいは分かるかもしんねえだろう?」
 へにゃんと言う効果音が思わず聞こえてきそうな程にサンジは相好を崩して、全く予想外の返答を口にした。
 こりゃ、まだ酒に完全に酔ってやがるなと、直ぐに分かったが、サンジの答えはゾロの胸にやたらと響いて、ダラダラと燻っていた苛立ちを一気に鎮めてしまった。
 代わりに、本当にこいつはアホなんだな・・・と漠然とした感情が宿る。
 いや、そんなことは前々から分かり切っていたことだが、今、また改めてそう実感したのだ。
「それで・・・分かったのか?」
 サンジは首を右に左へと傾げる。
「分かったような・・・分からねえような・・・」
 答えながらも首はぐらんぐらんと揺れ続け、明らかに様子が可笑しい。
 酒に酔っているのは分かるが、それにしては酔い方が少々派手な気がする。
 それでも受け答えはちゃんと出来ているので、少しはこれでもマシになったほうなのだろう。
 それにしても、本当に一体どれだけの酒を口にしたんだか・・・・・・。
 体も変な揺れを見せるなら、時々やはり頭が痛むのか顔を顰め、ふとした瞬間にグッと押し黙って蒼褪めた顔を横に向ける。
 また吐き気でも込み上げてきたのだろうかと思い、そこで漸くゾロはサンジの体の上から退いて、その背に腕を差し込み体を起こしてやった。
「吐くのか? 吐くならさっさと言え。連れて行ってやる」
「だからよー・・・何でお前はここにいるんだよ! 俺のことは放っておけ。テメエだって俺にそう言ったんだ。そのお前が俺に世話を焼くのは可笑しいだろう・・・」
 可笑しい?
 そうなのだろうか?
「放っておいたら、またテメエは誰かにふらふらついていくだろうが」
「ついて行ったんじゃねえ・・・・・・・・・・・・別に俺は・・・・・・そんなつもりは・・・・・・」
 そんな会話を交わしながらも、どうにも顔色がまた悪くなってきたようなので、サンジを抱き上げる。
 便所に投げ込もうかと思ったが、そこに連れて行くまでの間にかかる体の揺れさえも気持ちが悪いようで、口を押えたまま黙り込み、身の安定を図るようにサンジはゾロの首に腕を回して来た。
「・・・・・・駄目だ・・・・・・気持ち悪ぃ・・・・・・」
 もう何度聞いたセリフだろうか?
 酒に弱すぎるせいなのか、それとも、尋常ではない程の量、酒を飲んだのか・・・・・・。
 どっちにしろ、今コックが体内に取り入れすぎたアルコールのせいで苦しんでいるのは、さっきこいつが言っていたことを鵜呑みにするのなら、俺のためだったと言うことになる。
 酒に溺れる俺の気持ちなどを把握して、こいつはどうするつもりだったんだろうか?
 これもコックとしての義務なのか?
 その義務のせいで、見知らぬ男に強姦まがいのことをやられても、お前はそれでも義務だからと言って片付けるのか?
 肩に重みが加わった。
 見ればサンジがゾロの肩に顔を押し付けている。
 肩に吐くなよ・・・と忠告しようと思ったが止めておいた。
 代わりに肌に触れてくる黄色い頭に触れてみる。
 さっき風呂に入ったばかりの髪は生乾きで、まだ湿っていて冷たかった。
「そんなに俺に酒を止めさせたいのか?」
 サンジが身動き1つしないので寝てしまったのではないかと思いつつも、そう尋ねればピクリと動きがある。だが、サンジは自分の髪に触れているゾロの手を振り払うようなことはしなかった。
 極自然とサンジはゾロの手を受け入れている。
 酒とは本当に恐ろしいものだと、これまた今日何度そう思ったか分からない感想をまた抱いた。
「そりゃ当たり前だろう・・・・・・チョッパーにはあまりお前に関与するなとは言われちまったけどよ・・・・・・」
 俺のために・・・こいつは何でもやってくれるのだろうか?
「じゃあ、そんなに俺に酒を止めさせてえなら、優しくしろ」
 自分でも思ってもみないことが口から飛び出した。
「優しく?」
 便所のドアの前にサンジを下ろしたが、一向に中に駆け込む気配を見せないので、吐き気は治まったのかもしれない。
 あまりにも自分らしくないことを言った自覚はあった。
 蹴りが飛んでくるはずの場面なのに、やはり凶暴な足は動かない。
「そうすりゃテメエは酒を止めるのか?」
「テメエ次第だ」
 サンジは少し考える素振りを見せ、何度か首を横に捻る。
 今度は酒に酔っているせいでの揺れではなさそうだった。
「優しくってどう言う風にすりゃいいんだ? 優しく諭せばいいのか? それとも優しく懇願するとか?」
 サンジに問われ、ゾロの方まで首を捻る羽目になる。
 そもそも、何かの考えがあってそう口にしたわけではなく、咄嗟にそれはゾロの口から出て来たことだったのだ。
「そんなこと自分で考えろ」
 ゾロの方にも具体案みたいなものがあったわけではない。
 サンジは微かな逡巡の間を置いて、ゾロの腰に巻きついているバスタオルを引っ張った。
 どうせ、吐くんだろうと思っていたから、さっさとその場をゾロは離れるつもりだったのだが、その手に引き止められる。
 グイグイと引っ張ってくる手がゾロに屈むよう促したので、仕方なくその場にしゃがみ込んでやれば、肩に腕を回された。
 吐き気も失せたので抱き上げてまたベッドに連れて行けってことか? と判断したゾロだったが、サンジの方は腕を回したままゾロに顔を近づけると擦りつくようにゾロの頬に自分の頬を寄せ、耳元に唇を寄せた。
 まだアルコール臭を含んだ呼気が耳を掠って、もどかしい刺激を作り出していく。
 どう言うつもりなんだとゾロがたじろいだその時、首に回っていた手が行き成り下に落とされてゾロの下半身を探って、握り込んだ。
 そう言えば、コックに服が女の香水臭いと言われて脱いだままだったのだ。
 特段男同士の間柄で素っ裸でいることに抵抗のなかったゾロはバスタオルを気持ち、腰に巻き付けたままの格好である。
 コックの方はゾロが羽織ってやったバスローブを身に着けていたが、袖こそ通しているものの、合わせの紐をきちんと締めずただ羽織っているだけなので、肝心なところは何も隠れてはいない。
 今まで意識に上らなかったのは、あまりにもサンジが取り過ぎたアルコールのせいで苦しそうにしていたからであったが、一旦意識してしまえば、ゾロの反応は早かった。
 風呂場で抜いたのも、水を被って頭を冷やしたのも台無しなぐらい、ゾロのそれはサンジの手に握り込まれて見事にそそり立っていく。
「優しく・・・してやればいいのか? 溜まってんだよな?」
 そりゃ溜まってるか、溜まってないかで答えれば当然溜まっている。
 だからこそ女を買うために街に下りたわけでもあるが、目的を達成できなかった以上、事態は深刻だ。
 自分で抜いてもすっきりしないのは、自慰よりも他人を使った方が、より満足感を得られるからだろう。
 一体自慰の何回分が、人を使って1回やった時の満足感に繋がるのだろうかと思わず真剣に考えてしまった。
「テメエだって溜まってんだろう?」
 バスローブの隙間から見え隠れしている、サンジのそれに同じよう手を伸ばして掴んでやれば、あっさり兆してしまう。
 眉を潜められ、微かに震えた息をサンジは吐いたが、それを必死に見せないようにとゾロを睨むように見据えた。
「そりゃ、当然。俺だって男だ・・・お前だけが溜まると思うな」
 あっさりと返された返答の中に見える敵意のようなものに言い返す間もなく、サンジが掴んでいたゾロのそれを扱き始めた。
 あまつ、腰を屈め口を近づけて来たので、それにギョッとしてゾロは慌ててその顔を押し返す。
「何すんだよ。優しくしてやるって言ってんだ」
「何でそうなるんだよ!!!!」
「溜まってんだろ? なら、優しく・・・」
 確かに優しくしろと言ったのは自分だが、意味が違う!!!!!
 今にもゾロのそれを咥えようとしていたサンジの肩を若干乱暴に押し、ゾロは一気にその体を自分から引き離した。
「俺はそんなことしてほしいとは思ってねえし、頼んでもいねえ!」
 そう宣言するように言った途端、何故かサンジが酷く悲しそうな顔をした。
「いいじゃねえか・・・」
 次に返って来たのはどこか子供のように拗ねた、しょぼくれたような声だった。
「ダメだ!」
 語気を強めて言ってやる。
 それで一気に萎えたのか、ゾロの手に納まっていたサンジのそれはしおらしくなった。
 ゾロのそれは決してサンジのように大人しくはならなかったが、サンジはそれから手を離して顔を上げる。
「何で?」
 子供っぽい仕草で首を傾げられ、酒の酔いもここまで来れば重症だと思った。
 こりゃ今すぐにでもチョッパーを呼んでやった方がいいんじゃないだろうか? このまま脳が更に可笑しくなったら、流石に居た堪れない。
 アルコールは脳細胞を破壊する作用もあるんじゃなかったか?
「いいから吐く気がなくなったんなら、大人しく寝てろ。あまり暴れるとまた吐き気が込み上げてくるし、頭痛だって悪化するだろうが」
 ゾロはもう一度サンジを肩に担ぎ上げた。
 あまり乱暴にすると、また気持ちが悪いだとか言いだし兼ねないので、優しくベッドに転がしてやる。
 されるがままになっていたサンジは何だか今にも泣き出しそうな顔をしていた。
 もしかしたらまた頭痛が酷くなってきたのかもしれない。
「喉・・・渇いた・・・水・・・・・・」
 言い返す言葉はなく大人しく転がったまま、サンジはそう言った。
 仕方なくグラスに水を注いできてやる。
 グラスを突き付けたが、しかし、手に取る様子がない。
 体を起こすのもきついのかと思い、起こしてやろうとすれば、何故だか頑なな拒絶が返って来た。
 水を飲みたいと言ったのはそっちだろうがと呆れつつも、サイドの台にグラスを置く。
 自分も少し喉が渇いたので何かないかと探せば、備え付けの酒が幾つか棚に並べられていた。
 どれが安くて、どれが高いのかの区別もつかなかったが適当に選んでコルク栓を抜く。
 するとその音に反応したのか、今の今まで黙り込んでいたサンジが口を開いた。
「優しくしろってテメエが言ったのに、優しくしようとすればテメエが拒否する・・・・・・俺はどう優しくすればいいんだ・・・・・・どうすりゃテメエ酒飲まなくなるんだよ」
 瓶に口を付けようとしていたところを止め、ゾロはサンジに近付く。
 完全に不貞腐れた色のあるサンジの頭を衝動的にあやすよう撫でてやったのは、やはり自分ではよく分からない疼くような情動のせいだ。
「優しくしろって言うのは、テメエ自身にそうしろって言ったんだ。何も俺にそうしろと言ったわけじゃねえ」
「俺に?」
 背を向けていた体が寝返りを打ってこっちを見た。
「考えてもみろ。今更テメエが俺に優しくなったら気持ち悪いだろうが」
「そうか?」
「そうだ!」
 断言してやれば、何故かコックの顔が赤くなった。
 今の今まで蒼褪めた顔をしていたのに、酒の酩酊感が急激に上ってきたんだろうか?


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