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フランスパン練乳がけ1

2013.03.26 17:34|Novels

「どうしよう!! 俺もうお嫁に行けない!!!!!!」

 こっちはのんびりと朝寝を満喫している日曜の朝っぱらから、何度もインターホンを鳴らすバカがいる。
 居留守を決め込もうと思ったのだがあまりにもしつこいので、若干殺気立ちながら玄関に立てば覚えのある声が俺の名を呼んで来た。
 同じ職場で働く同僚であり、昔から親しくしている幼馴染兼友人の1人だと分かり、直ぐにチェーンを外して鍵を開けてやる。
 途端、鼻水を垂らした大の男が頭に蓄えたトレードマークのリーゼントを揺らしながら、飛び込んで来た。
 それだけならともかく、冒頭の可笑しな台詞と共にである。
 これだけ取り乱した様子なのだから、どうせ女にでもまたフラれたのだろう。
 そう言えば最近はそう言うこともあまり無くなっていたが、もう少し若い頃は女にフラれる度に人のマンションに飛び込んで来て、一晩中泣き言を聞かされたりもした。
 いつの間にかこいつの宥め役に回ることが多くなっていたので、慣れっこと言ったら慣れっこなのだが、最近好きな奴がいたと聞いたこともなかったので不意打ちを食らった気分だ。
 取りあえずいつまでも玄関先でビービー言われるのでは堪ったものではない。
 冒頭の台詞が女にフラれたものにしては少々可笑しなニュアンスを含んでいたような気がすることは無視して、鼻をズルズル言わせている男を部屋の中に押し込んだ。




 ソファに座り込んだフランスパン頭の男にティッシュの箱を投げつけると、大人しく鼻を噛み始める。
 よくよく見ればその目は真っ赤だ。
 泣いたのか、寝不足による充血なのかは分からないが、それで何故フランスパンのように盛られたポンパドールは崩れないのか気になる。
 こっちもゆっくり朝寝を決め込んでいたところを強引に起こされたので、まだうまく頭が働いていない。
 なので濃い目のコーヒーを淹れて、ついでにフランスパンの目の前にもそっと出しておいた。
「それで何があったんだよい?」
 失恋絡みの時は相手を刺激させず、話をただ聞いてやるに限る。
 夜であれば酒の1つでも鬱憤晴らしに出せたのだが、今は朝だ。
 流石に朝っぱらの起きたてから酒を提供してやる気にはなれなかった。
「それがよ~、ちょっと仕事の付き合いでバラティエっつ~レストランに行って来たんだよ」
 話し始めは案外普通だった。
 てっきり女に浮気されただとか、不倫だったのだとか、大人の汚い世界に直ぐに引き摺り込まれるものだとばかり勝手に思っていたからだ。
 それもこれも、このフランスパンが失恋したと言ってくる時の理由は大抵女性側の浮気が原因であることが多い。
 要するにこいつは人が良すぎるのだ。
 女性の相談に親身になって乗ったりして女性に好感を与え、それが切っ掛けで付き合い始めたりするが、見た目の厳つさとは裏腹に押しが弱いところがあるせいで、直ぐに女はつまらなく思うらしいのだ。
 なので、いい人止まりと言うことが大抵多い。
 バラティエと言えば、年が明ける少し前のクリスマス時期にここで鍋パーティーを開いた際、そのメンバーの中にそのバラティエオーナーの孫息子がいたはずである。
 その鍋パーティーから既に2か月と少しが経っていたが、あまりにもいろいろありすぎたパーティーだったために、その時に起こったあれこれはまだ記憶の中に新しい。
 今となっては寄りを戻した現在の自分の恋人とも、そこの孫息子はちょっとした関係があったことを知っているだけに、そいつの話題になるとほんの少し複雑なのである。
 ・・・と言ってもフランスパンの口からは、何もその孫と会ったと言う話はまだ一言も出て来ていない。
 ただバラティエに行ったと、言っただけである。
 なのに、俺は薄々この時点で予想していた。
 どうせ、あのトラブルメーカーだか、天然なんだか計算なんだか分からない、金髪で珍妙な眉毛をした見た目天使、性格小悪魔な、あいつ絡みなのだろう。
 話を聞いていけば、見事にビンゴだった。
 フランスパンは俺とは違って案外情に脆いところがあるから、あの似非天使を放っておけないのだろう。
 その気持ちは俺にも分からないでもない。
 あの金髪男の不安定さと、それを裏返す奇妙に直向きな強さ。それでいて人懐っこいのか、一線を引いているのかすらも曖昧な境界。
 途端怒り出したかと思えば、次の瞬間には子供のように笑ったりする。
 ついつい絆されてしまって傍にいてやりたい気持ちになってしまうのも、あいつに常にある危なっかしさのようなものが魅せる魔力のようなものだ。
 ほんの少し、今付き合っている恋人の男に似ていると言えば似ているのかもしれない。
 外見や性格の面ではなく、恐らく本質が・・・だ。



 どうやらフランスパンはバラティエに仕事の付き合いで足を運んだ日、そこであの天使にばったり遭遇したらしい。
 まあ、ばったりと言うか、そこでその天使も副料理長としてちゃんと働いているのだから、会わない確率の方が低かっただろう。
 そのことを指摘してやれば、どうもそいつはバラティエの副料理長の座を辞して家を出たらしい。
 初耳だったのでそれには俺も驚いた。
 恋人の奴も何も言ってなかったけどなぁ・・・なんて思いながらも、何だかんだであの鍋パーティーの一件から先、会う機会も無いまま年が明け、気が付けば3月に入り込んでいた。
 1月は行く、2月は逃げる、3月は去るとはよく言ったものである。
 年度末に差し掛かり徐々に残業が多くなったこともあって、恋人とさえなかなか会えない日々が続いていた。
 同じ会社で働いているはずなのに、部署が違うせいか、なかなか社内ですら遭遇することがないのだ。
 このフランスパンも同じようなものだったのだが、こいつはいつだってこっちの都合も読まず神出鬼没。且つ常に無礼講なため、長く連絡を取らない期間があっても、ふとした頃に思い出したよう、こうしてやって来るのだ。
 大体が朝夜関係なく、トラブルをくっつけて。
 そんなもんだから鍋パーティーの時に一緒に鍋を囲んだメンバーの1人である金髪天使と会う機会など、その後全くなかったわけである。
 いろいろあったので、それからどうなったのか気になりこそしていたのだが、聞く機会もないままでいたところを今回の騒動である。
「それで何で仕事も辞めて家を出たはずの男と、バラティエで遭遇するんだよい」
「それがよ~、あいつたまたま里帰りしてたんだよ。何でも数日前の自分の誕生日の日に実家の方に送られて来た荷物を取りに来たとか何とかで」
「誕生日?」
 その単語に眉を潜めたのは、確かそれこそ数日前、3月に入ったばかりの頃、なかなか会うことの出来なかった恋人が突然前触れもなく夜も遅い時間になってうちにやって来たからである。
 何かあったのだろうか? と思いはしたが、訊ねてみれば、近くを通りかかったから寄っただけだと言う。
 結局2人でちまちま酒を酌み交わしたのだが、程良く酔いが回って来た頃になってポツリと恋人の口から落ちた言葉が「誕生日だったんだ、今日」の一言である。
 まさか自分は恋人の誕生日を知らずにいたのかと一瞬慌てたが、よくよく考えてみれば、年明け直ぐに恋人の誕生日は一緒に祝ったのだったと思い出す。
 じゃあ、誰の誕生日なんだ? と首を傾げたのだが、問いただそうにも何だか恋人の横顔は珍しく物憂げで、聞きそびれてしまったままだった。
 結局その後直ぐに恋人は酔い潰れてそのままテーブルに突っ伏して眠りこけてしまったので、その話はそこで終わりになり、俺も今の今まで忘れていた。
 つまり、数日前のあの日は、今のフランスパンの話と掛け合わせると、あの金髪の誕生日だったのだろう。
 それだと恋人の様子がちょっと可笑しかったのも一応は納得出来る。
 無闇に人に乱暴を働くような奴じゃないあいつが、人の家の玄関で金髪を押し倒して事を成し遂げようとしてしまう程、2人の関係は少々特殊だ。
 今更、その2人が付き合っていた当時に何があったのかを探ろうとも思わないが・・・・・・。
「それなのによ~、何かあいつ妙に元気なくてさ。また何かあったのかな~? なんて思ったんだけどよ。まあ、折角だから俺の奢りで飲みに行ったんだよ。誕生日祝いぐらい、いいだろうって思って」
 フランスパンの話は淡々と続いている。
 既に2人っきりであの金髪と飲みに行った時点で、先の展開が予想出来るようだ。
 小説や漫画などでは案外ありがちなんだけどなぁ・・・現実じゃあ、その一線を踏み越えるかどうかってのは要はその場のノリやテンションなわけだし。
 そこに酒が入ってくると変なところで意気投合して、ふわふわとした気持ち良さのまま、とんでもない行動を取ってしまうのもまた人なのであって・・・。
「何件かはしごして回ったんだけどよ、結構あちこち回ってたら流石に手持ちの金が少なくなってきて、俺はそろそろ切り上げようって言ったんだ。そうしたらあいつが今借りてる部屋が近いからうち来いよーって。ツマミでも作ってやるぜーとか言うもんだからよ」
「釣られて行ったわけかよい」
「そうなんだよぉぉおおおおお、それであいつの部屋でそれからまた飲み明かして、気付いたら・・・・・・」
「もういいよい」
 先を聞かずとも展開はばっちり読めた。
 何せあの金髪は誰彼かまわず誘惑して回るとんでもない性格をしているわけだ。
 俺にだってあの魔の誘惑の手が一応伸びたことがある。
 あいつは相手を何故か選ばない。
 自分の傍にいてくれる奴なら誰でもいいんじゃないかと思ってしまう程にだ。
 こっちの制止の声を素直に聞いてフランスパンは黙り込んだ。
 一瞬の静寂が室内に広がり、そのことが落ち着かなかったのか先程出してやったコーヒーの入ったマグカップを手にとり、わざとらしくズズズと音を立ててフランスパンは飲む。
 俺は少し頭を抑えながらも、これでこの話を終わりにするわけにはいかないだろうなと溜息を吐いて、肝心のところだけ探りを入れることにした。
「それで、もしかしてお前・・・やったのかよい?」
「そうなんだよおおおお、俺としたことがやっちまったんだ!!! 酒も入ってたしよ、もうベロンベロンでこの間の鍋パーティーの時みたいに分別が出来なくなっちまってたんだよおおお!!」
 そんなにショックだったのか、フランスパンは目元を腕で覆って男泣きとばかりにおいおいと泣き始めた。
 演技なのか本気なのかの区別は付かないが、天使1人やったところでここまで衝撃を受けるものだろうか?
 酒の勢いでやっちまいましたあああ!! なんてことは、大人になれば割とその辺に山ほど有り触れている失敗のような気もするのだが。
 だが確かに今回は相手が悪い。
 それはこっちも痛いほどに分かっていたので、フランスパンの心情には通じる部分もある。
 だけど、だ。
「お前なぁ、あいつとエースが訳ありだって知ってるだろうよい。エースが知ったらどう思うか・・・」
 つい、本音が出てしまった。
「やっぱり、だよなぁ・・・エースの奴、流石に俺に幻滅するよなぁ・・・折角気のいい兄貴分装ってたのに、これじゃあただの変態じゃねえか、俺」
 何だか話が飛躍しすぎな気もするが、変態ってことは、まさか酒でデロンデロンに酔った奴をフランスパンが問答無用で押し倒しただなんてことは・・・。
 それだけじゃなく、もしかしたら非情な大人のプレイを楽しんだのかもしれない。
 このフランスパンならやり兼ねない。
 何と言ったって昔からの長い付き合いの誼。
 学生時代にこっそり2人でレンタルして見たアダルトビデオのタイトルは「特濃ミルク工場24時間フル活動」
 タイトルから予想出来る通り、それはもう24時間相手を離さず、あれこれ使ってミルクの餌食にする内容だったわけだ。
 この頃からSっ気のある奴だとは思っていたが、まさかついにやってしまったのか・・・。しかも、酒が入っていたのでは相手の合意さえ得てなかった可能性も高い。
 道理でこの落ち込みようなわけだよい。
「お前、それは変態と言うよりは、犯罪だろうよい」
 ここは友人としてきっぱりと忠告してやらなければならない。
 いくら相手があいつだからとは言え、やっていいことと悪いことはある。
「だってよぉぉおお、断れなかったんだよ! あいつに酒に潤んだ目で迫られてみろ!!」
 確かにあれは心臓に悪い。
 ついつい同意しかけたところを慌てて首を振った。
「情状酌量の余地はあるが・・・・・・って、お前から強引に伸し掛かったんじゃ・・・いや、お前から誘ったんじゃないのかよい?」
「何で俺から誘わなきゃいけねえんだよ!!!」
 はて? てっきり俺は酒の勢いであの天使に強姦でも働いてしまったのかと思ったが、どうもそうではないらしい。
 つまり誘ったのは誘惑天使の方か。
 それなら合意の上ってことで別にこいつがここまで嘆く必要もないように思えるが。
 そこで、俺はふと、とんでもないことを思い出した。
 そう言えばこいつ、最初に何か可笑しなことを言っていなかっただろうか?
 確か・・・もう俺、お嫁に行けないとかなんとか・・・・・・・・・。
 カップを持つ手がワナワナと震えた。
 一瞬想像に悍ましい光景が脳内に浮かび上がったからだ。
 いや、まさかそれはないよい。ないないないよい。
 自分の考えを打ち消すため。一旦冷静になろうとコーヒーを口に持って行く。
 砂糖もミルクも入れなかったので、コーヒーは滅茶苦茶苦いが、寝ぼけていた頭はすっかり覚めてしまった。
 それもコーヒーの効果なのか、フランスパンの衝撃告白のせいなのか分からない。
 えっと・・・とにかく落ち着くんだよい、俺。
 今の時点での情報を整理すると・・・。

 フランスパンがお嫁にいけない発言。
 どうやら天使と一線とやらを越えたらしい。
 誘ったのは天使。
 酒が入っていた。

 つまり総合して結論を出すと、もしかして掘られたのは・・・・・・・・・。
 カップに口をつけたまま目の前のフランスパンを凝視する。
 ほんのりと赤く染まった頬。
 さっき男泣きした影響で潤んだ瞳。
 早朝だと言うのにきっちりと何かを意識したように整えられたフランスパン。
 心なしか、いつもより若干綺麗に見えるのは処女喪失の影響だろうか・・・・・・・・・・・・?
 あの天使・・・可愛い顔してこんなおっさん抱くのか?
 どんな顔で?
 男は皆オオカミなのよい!ってか?
 いや、待て落ち着けよい、俺。
 よいよいよいよいよいよいよいよい・・・いや、良くないよい。
 苦悩に襲われている俺の肩をフランスパンが何を思ったのか行き成りガシリと掴んで来た。
 俺にはお前に押し倒される趣味も押し倒す趣味もないよい!・・・じゃなくって、えっと・・・もしかしてこれは・・・貞操の危機!
 変な汗が滲んで来た俺にフランスパンはいつになく真剣な顔でにじり寄った。
「お前を俺の親友と見込んで一生の頼みだ!」
 ・・・一生の頼みって、まさか抱いてくれい!とか言うんじゃないだろうな・・・なんてことを考えてしまい、背筋に悪寒が走って行く。
 そりゃ、俺の現在の恋人も男だし、俺だってこいつをそう言う目で見たことが一度も過去になかったとは言い切れないし、あの赤髪だって俺を押し倒すぐらいだし・・・・・・。
 ・・・あれ、何か俺の思考可笑しくないかよい?
 頭の中がグルグルと纏まりの無い感情やら考えやら混乱やらで満たされている間にも徐々にフランスパンの顔は俺に近付いてくる。
 その手が肩を外れ、スススと下に下りた。
 まさかダイレクトに行き成り下を弄る気かよーーーーい!!!!! なんて心の中で叫びを上げた俺の目の前に次の瞬間、何かが突き付けられる。
「これ・・・どっか捨てて来て・・・・・・いや、貰ってくれ」
「よい?」
 首を傾げながらフランスパンの手の中にある布切れのようなものを受け取る。
「何だよい、これ?」
「パンツ」
「よい?」
「だからパンツ」
「よい?」
「パンツだよ、パンツ!!!!!!」
 フランスパンがついに怒鳴り声を上げた。





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 サチ誕おめでとうでしたー。
 ちょいと遅れましたが、一応屋上でする日光浴は~にオマケでつけようと思っていた部分+αです。
 屋上~を読んでないと、たぶん意味不明な気がする。
 読んでても意味不明かもしれない(笑)
 タイトルがあんまり関係ないですね。何かテンションで練乳かけたい気分だっただけで。
 一応ナンバーふってるのは、続きの部分があるからなんですが、ここで終わりでもいいかなーともチラチラ思ったりなんかもしてるのは、想像にお任せしますって言うの案外楽しいよね!ってことで(脱兎)

 
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