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微熱or・・・25

2013.01.20 07:55|Novels
 ほんの少し転寝した程度だと思っていれば、どうやら一時間程経っていたらしい。
 いつもの癖で真っ先に時計を見れば自分の記憶よりも大分進んだ時間を指している。
「ん・・・何か用か?」
 目を擦って欠伸を殺しながら尋ねる。
 前の島でちょっとした気まずい出来事があってから、夜中に酒をかっぱらいに来ることも全く無くなっていたゾロだけに、何かあったのかもしれないとちょっとした懸念を抱く。
 するとゾロは腹巻きの中から何かを取り出し、それをサンジに見せつけるようにして自分の首に嵌めた。
 今頃になって少々洒落っ気が出てきたのだろうか?
 この船に乗る男共はどうも流行やお洒落の類に無頓着でいけない。
 それなりに世界でも名の売れて来た海賊の一味。船長に至っては海賊王を目指すと言う大きな夢を抱いている。
 そんな奴等が見っとも無い格好をしていれば、威厳も半減すると言うものだ。
 ただでさえこの船の世界一を目指すコンビは風呂にも1週間に1度程度しか入らない。
 なので、時々サンジが誰の前に出ても恥ずかしくない衣装をコーディネートしてやることも多い。
 つまり、俺にアクセサリーを見立ててほしいと言うことか?
 しかし、ゾロの首に嵌まっているアクセサリーは真っ黒で特にこれと言ったデザインもない。
 しかも首の半分ほどを覆ってしまう程に幅が広く、お洒落なアクセサリーと言うよりは、普通に首輪だ。
 ん? 首輪?
「て、テメッ、もしかして、それ!」
 サンジはワナワナと震えた。
 よくよく見てみれば、ゾロの首に嵌まっているそれはサンジにはよく見覚えのあるものだ。
「ああ、フランキーに直してもらった」
「アホか!!! 何でだよ! しかもそれ嵌めちまったら、お前!!!」
 人の脳を操作することの出来る首輪をサンジがつけられてしまったことは、まだ記憶に新しい。
 何せ一週間前まで、その首輪のせいでサンジはずっと眠り続ける羽目になった。
 しかし、自分につけられていた首輪は、罅が無数に入り粉々になって砕けてしまったはずだ。
 あの首輪を修理するなんてことは幾らフランキーでも無理に思えたが、考えてみれば自分ともう1人・・・いや、もう1匹、猫につけられていた首輪の存在があったことをサンジは思い出した。
 なら、今ゾロが首につけているのは、その猫の首輪なのだろう。
 よくもまあ、あんな危険なものを修理させたものだ。
 下手すれば自分の意思を押さえつけられ完全に誰かの言いなりになるだけでなく、脳に負担がかかりすぎると一生目覚めなくなる可能性だってある。
 なのに、ゾロは今自分の目の前でその首輪をつけた。
 首輪は、つけてから最初に目に映した相手を主人として認識し、何でもその主人の命令を聞いてしまうことになる。
「何か俺に命令しろ」
 サンジは大きく溜息を吐いた。
 何となくゾロの意図が分かったからだ。
「あのなぁ、テメエ、まだ何か変な罪悪感とか感じちまってんのかよ? 俺は言ったよな。忘れろって・・・別に俺はあん時のことは何も気にしちゃいねえんだ」
 打たれた薬の影響で自我を失ったゾロに手酷く強姦されてから、まだそう日が経ったわけではない。
 だが、サンジにとってみれば、それも、もう昔の話だ。
 強姦された後も、薬の抜けきらないゾロにサンジが自分の体を与えたのも、確かに首輪の効果があったところもあるのだが、サンジにとってみればそれすら自分の意思だ。
 何度もサンジはゾロにそう伝えたはずだが、どうやらゾロはまだ納得していなかったらしい。
 風呂も1週間に1度だし、洗濯物も出さねえ。道を歩かせれば直ぐに迷子になるし、暇さえあれば寝てるか、鍛錬を繰り返しているだけの朴念仁のくせして、この男には妙に律儀なところがあるのだ。
 馬鹿正直と言うか、曲がったことが嫌いと言うか・・・。
 ある意味で、こいつはどこまでも真っ直ぐなんだろう。そう言うところは少しルフィと似ている。
 きっと自分の意に反することは、とことん許せない奴なんだろう。
「テメエはただ俺に何か命令すればいいんだ」
 どうやらゾロに引く気はないらしい。
 サンジはどうしようかと迷ったが、こうなった以上何を言っても無駄だとも知っている。
 ゾロは一度口にしたことを簡単に取り下げたりはしない。
 そうしなきゃゾロの気が済まないと言うのなら、ゾロの言い分を飲んでやるのも後腐れなく、今後も仲間と言う関係を対等に保っていられる最大の手段でもある。
 だけど、それでは何となくフェアじゃない気がした。
 確かに強姦されているのだから被害者はサンジと言うことになるのだが、結局それも自分が招いた結果なのだとサンジは知っている。
 サンジはゾロから目を逸らして、手元で開きっぱなしになっていたレシピ帳を捲った。
 その目はちゃんとレシピ帳に並んだ文字や写真を決して追っているわけではない。
 ただ手持無沙汰にそうしているだけだ。
 そうでもしていないと落ち着かない。
 真っ直ぐに目と目を合わせて話をしてしまえば、こっちが必死になって保っているものがあっさり崩れるような気がした。
「前にも言ったけどよ、本当にテメエが罪悪感だとか責任だとか感じる必要はねえんだよ」
「どうしてそう言い切れる?」
 サンジはレシピ帳を捲る手を止めて、頭を押さえた。
 ほんの少しだけ顔を俯かせ、頭にやった手を不自然にならないよう下に滑らせて表情をそのまま隠す。
「うーん、まあ、何つーか・・・テメエさ、何であの時、俺がいる場所にタイミングよく現れたんだよ?」
 ゾロは然程考えた素振りも見せず即答した。
「猫に付いて行った」
 全くこいつは、その不自然な状況に何一つ疑いを抱かなかったとでも言うのだろうか。
「そう、猫だよ猫。たまたま首輪つけられた猫と目が合って、その時俺って鎖で拘束されてるわ、見事に素っ裸だわ・・・。ああ、このまま俺やられちまうのかなーなんてぼんやり考えて・・・。そしたら何か急にテメエのこと思い出しちまって、思わずって言うかよ・・・猫に頼んじまったんだ・・・。テメエ連れて来いって・・・・・・。見知らぬ汚ねえ野郎どもに体弄ばれるぐらいなら、まだテメエの方が幾分かマシだろ? テメエならこんなことぐらいで壊れる男でもねえだろうし、元から俺とは仲も悪いんだから、このことで関係悪化しても別に今まで通りで、船に露骨な違和感持ち込むことにもならねえ。だからテメエに強姦されたのも全部、結局は俺が招いたことで、俺の意思だ。同意だ、同意・・・・・・」
 気にすることはねえ・・・・・・。
 ポツリとサンジは罰が悪そうに付け足した。
 絶対に言うつもりは無かったことだが、自分が黙っているせいでゾロがいつまでも罪悪感に囚われ続けるのでは、サンジにとってこれ以上気分の悪いことはない。
 ケジメはやはりちゃんとつけなくてはならないのだ。
 ゾロの目を見ないまま、サンジは手を何度か払ってキッチンから出て行けと態度で伝えた。
 だが、ゾロはそこから動かない。
「あーーっ!! もう、うざってえーんだよ!! さっさとどっか行け!!! そして全部何もかも忘れちまえ!!!」
 押し黙ったままのゾロに痺れを切らしてついに怒鳴りつければ、ゾロの視線が痛いほどに強くなった。
「黙って聞いてりゃ、勝手なことばかりだな」
「仕方ねえだろうが!!! じゃあ、何だ? テメエは一体どうしたいんだよ。どうすりゃ元通りに俺達、なれんだよ!!!」
「同意だとか、テメエが猫に頼んだこととかは関係ねえだろうが。俺は自分の意思でこうしてんだ! いいからさっさと俺に命令しやがれ!!!」
 サンジは驚いた。
 漸くそろりと顔を上げてゾロを見る。
 その顔を見て、ああ、やっぱり完全に怒ってやがる・・・と確認した。
 いつものゾロならとっくに手が出ている頃だろう。
 肩が震えたり、握りしめられた拳が血管を浮かせているにも関わらず、ゾロがサンジを殴ってくることはない。
 これがゾロなりのケジメの付け方なんだって言うのも分かる。
 なら、適当なことでも頼んでさっさとこの件を終わらせてしまえばいいのだ。
 サンジはそう結論づけた。
「命令は命令でも、ちゃんと自分が望むことを言え。そうじゃねえと、俺はいつまででもテメエに命令を求め続けるからな」
 しかし、完全に思考を見透かされているようなゾロの言い分がすかさず飛んでくる。
 サンジはキュッと唇を噛んだ。
 俺がいいって言ってるんだから、それでいいことにすればいいのに、どうしてこいつはこんなに頭が固いんだろうか。
 ゾロの手がサンジに伸びてきた。
 サンジは思わずビクリと肩を竦めさせる。
 それを見てゾロの手はサンジに触れる直前で戸惑った。
 最初は顔に向かっていた手だが、結局一番警戒心を少なくさせることの出来るサンジの頭にポンと置かれ、そのままくしゃくしゃと髪を掻き乱された。
 その仕草に、何だか少しだけ泣き出したいような気分が這い上がってきて、サンジはそれを誤魔化すためにゾロの胸に自分の顔を押し付けた。
 そこを横切る大きな傷跡。逞しく筋肉質でゴツゴツと固い。
 ほんの少し前まで、この体に押し倒され、この胸の下に俺はいた。
 何故かもう遠い昔のことのように思える反面、まだつい昨日のことのようにも思える。
 たぶん、潮時なんだろうな・・・とサンジは自分の中にポツンポツンと浮かび始めた思考と感情を認めざるを得ない。
 どのみち、この思考と感情を一致させない限り、ゾロの首輪は外れやしない。
 嘘も誤魔化しも全く利かない方法でゾロがこうして攻めてくるとは、単細胞のくせに珍しく賢い選択だ。
 サンジは何度目になるのか分からない溜息をもう一度吐く。
 諦めと譲歩。
 だが妥協ではない。
 
 始まりは強姦。
 だけど、何度も同じ行為を重ねて行けば、それも当たり前のことになる。
 その行為は同意あってのことだと、サンジ自身がゾロに何度も突き付けたのだ。
 なら、同意ある行為の理由は一体何なのだろう?
 その答えなど、サンジはとっくの昔に知っている。

 知っているから、俺は拘束され今にもやられかけてる時に思わずゾロの名を呼んだ。
 見知らぬ手が俺の体を弄り、見知らぬ唇が俺の体に愛撫を加えた瞬間の咄嗟のものだった。
 タイミングが良かったのか悪かったのか、その時実験用に捕獲されていた首輪をつけられた猫が目を覚まして、ベッドに押し付けられている俺の真上を横切った。
 俺が無意識に呼んでしまった名は、計らずも俺がその猫に与えた最初の命令になってしまった。

 固い胸の鼓動を聞きながらサンジは今度こそゾロのための命令を押し出した。
 ゾロのための命令は、自分のための命令だ。

「風呂ぐらいちゃんと入れ」
「腹巻きは毎日洗濯に出せ」
「飯の時間は守れ」
「突っ込む時はちゃんと慣らせ」
「痛ぇのは嫌だ」
「キスもちゃんとしろ」
「中には出すな」
「他の相手を見るな」
「俺だけ見てろ」
「強姦はもう嫌だ」
「優しく・・・・・・抱き締めろ・・・・・・」

 こうなったらやけくそだとばかりに、サンジは思いつく限りのことをつらつらと並べ立てた。
 俺達の強姦から始まった乱れた関係はもう終わったことのはずなのに、何故だか、これからもその関係を続けていくこと前提の命令まで口から出た。

 ゾロは何も言わずに大人しくそれを聞いている。
 どのみちゾロは俺を見ながら首輪をつけたのだから、俺は今となってはゾロの主人であり、俺の言うことには抗えない。

「3回、回ってワン」
「おい!!」
 
 そこで漸くゾロから反応が返った。

「おい! じゃなくてワンな。ちゃんとワン」
 ゾロが律儀に3回、回る。
「ワン!」
 もっと可愛く啼けよな・・・とあまりにも無愛想すぎるゾロの犬真似にサンジは思わず吹き出すようにして笑ってしまった。
 ゾロの額に青筋が浮く。
「テメエ・・・」
 恐らく文句に続いたはずのゾロの口を遮るように、サンジはゾロの口に自分の唇を押し当てた。

「一度ぐらい、俺のこと好きだって言え」

 軽く触れて唇を放し、その隙間で、ポツリ・・・そんな命令が落とされた。
 ゾロは驚いてサンジを自分から引きはがそうとした。
 だが、咄嗟に下を向いて表情を隠した顔の、その横にある耳が真っ赤になっているのを見て、相好を崩す。

 コックを目覚めさせるためのキスではない。
 キスがしたいからキスをした。
 崖から落ちた直後にキスをした時と全く同じ緊張を感じながら、ゾロは恐る恐るサンジの背に腕を回した。
 サンジは今度こそ震えずに、自分もお返しとばかりにゾロの背に腕を回してくる。

 そんなサンジの耳にゾロは唇を寄せて、その命令を形にした。

「好きだ」

 ゾロの首にしっかりと嵌まっていたはずの首輪がパキンと音を立てて外れてしまった。






「知ってる」












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 ここで終わりにしてもいいんですが、最後にあともう1話分だけエピローグ的なおまけエロでも書いて終わりにしようかなーなんて思いつつも(え、何も私が書きたいんじゃないよ。欲求不満とかそう言うんじゃないよ・・・きっと周りが読みたいだろうなーって思って・・・うんうん。あのまま青kにもならなかったしね・・・うんうん)
 たぶんゾロ以外は皆知ってたよね・・・サンジの気持ち。

 もうこいつ等一生いちゃいちゃしてろ。
 
 次回、サンジの犬になったゾロの話・・・には、たぶんなりません(笑)

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