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微熱or・・・13

2012.12.04 18:34|Novels
 素っ裸のままソファの上で眠りこけてしまったサンジを暫しゾロは抱き締めたままでいた。
 抱き締めたところで、何が満たされるわけでもない。
 だが、もし、コックが正常な状態であり、自らの意思で俺がこうして抱き締めることを許したまま安らかな眠りについていたのなら、ただそれだけで心は酷く満たされたのではないだろうかと思う。
 そんなこと自分の想像の域でしかないことだ。
 今がこんな状態だからこそ、余計に強くそんなことを思ってしまうのかもしれない。
 かなりの時間ゾロはサンジを抱き締めたままでいたが、そのうち互いの体温だけでは寒さが際立ってきた。
 風邪をひかせてしまうのもマズいと思い、同時に頭も徐々に冷え切っていったためにゾロはサンジに服を着せることにした。
 それに流石に素っ裸のまま転がしておくのも、いろんな意味でマズいのだ。
 サンジが自分で脱ぎ捨てた服は床の上に転がったままだ。
 何の躊躇いもなく脱いだあの時のサンジの表情を思い出して、ゾロはまたどうしようもない気持ちに襲われた。
 表情が無かったのだ。
 なので、嫌なのか、嫌がっていないのかすら分からない。
 羞恥も怒りも一切無い絶対的な服従は、ゾロにとってやはりあまり気分がいいものであるとは言えなかった。
 男なら誰だって人に当てた征服欲を持っているものなのかもしれない。そうしてみたいと言う感情がどこかでチラリと脳裏を掠めることがあるのは否定できないことだろう。
 だが、それを本当に実行してしまっては、意思を見せないこんな眠り続けるだけの人形が出来るだけなのだ。
 服を着せている最中も何事もなかったように眠り続けるサンジをゾロは見下ろす。
 下着を穿かせ、ズボンを身につかせ、そうしてシャツの袖を通してやった。
 まだ、自分が自我を失っていた時、夜になるとこいつを抱き尽くして、自分の白濁に塗れたこいつの処理をしてやった時よりも、何故か虚しいと感じた。
 やっていたことはあの時の方が酷いはずなのに、あの時は何が何だか分からない混乱や自分に宛てた怒りの方がきっと感情的には勝っていたのだろう。
 尻の孔から自分のものを掻きだして綺麗にし、それで何もなかったことになればいいと、そんな卑怯なことを考えていた時よりも。

 虚しい・・・・・・だなんて、どうにかしているのだ。





 ゾロは朝までサンジの傍を離れなかった。
 いや、離れられなかったのだ。
 結局眠りも薄く、ろくに寝付けもしないままいつもならコックが動き出すはずの時間帯になった。
 明け方と言っても、まだ遠くの空の低い位置が紫がかってきただけで、周囲は日が明ける前の薄闇に包まれていた。
 それでも、いつもコックはこの時間に毎日欠かさず起きてくるのだ。
 だが、サンジは今日も起きる様子を見せない。
 体を揺らしてみたり、声をかけたりしてみたが、眠りの世界から覚めることはなかった。
 やはり駄目か・・・とゾロはうなだれた。
 俺の言うことを何でも聞くのなら、「起きろ」と言えば起きるのではないかと思い、昨晩にも散々そう声をかけたのだが、コックが起きることはない。
 ・・・となると、こいつが起きている時にそう命令しなければ、首輪の効果は有効にはならないのだろう。
 だが、こいつが目を覚まして「ずっと起きていろ」と命令したところで、それがこいつの意思に大きく反してしまえば、またそれだけ脳に負荷がかかるのではないか。
 逆に更に眠り続ける羽目になるのではないかと言う不安がある。
 ここら辺のことはチョッパーやロビンにちゃんと聞いておいたほうがいいのかもしれない。
 自分だけの独断で動くには心許なかった。
 ゾロはそのまま日が明け、皆が動き出す時間帯まで待ってみたが、それでもサンジは起きなかった。
 当然のことだろうと思う。
 別に行き成り首輪の効果が無くなるだなんてことを期待していたわけでもない。
 むしろ、日に日にコックの眠り病は酷くなってきているのだから、起きるはずもないことなのだ。
 コックは俺に斬ってでも起こせと言った。
 そして、そうしなかった俺のことを散々に怒ってきたのだ。
 ゾロはサンジの言う通り、斬ってでも起こしてやったほうがいいのだろうかと迷いながらも剣に手をかけた。
 斬ると言ってもどこを斬ればいい?
 剣を両手に構えてみても、そんなことすら分かりはしない。
 手は絶対にダメだろう。
 料理人の手を傷つけるようなことをしたら、後々こいつが何を言ってくるか分からない。
 いや、何を言わずとも、こいつは酷く傷つくだろうと思った。
 じゃあ、足か? とも思ったが、攻撃の主体となる足をやるなど、何となく卑怯な気もしたし、足を引き摺りながら料理を作るこいつを見る程、自分も鬼畜に出来ていない。
 首、顔、胴体・・・背中・・・いろんな箇所を考えたが、結局そのどこにも剣を突き付ける気にはなれなかった。
 コックの言うことも、ある意味では正しいと思う。
 無意識にも眠り続けてしまうからには、目が覚める程の強烈な痛みを与えて目を覚まさせる。
 チョッパーなどが聞いたら目を白くさせて泡でも噴きそうだと思ったが、一番手っ取り早く簡単な方法でもあるのだ。
 だが、情けないことだか、やはりゾロは自分には出来そうにないと思った。
 もし、そうしなければ、こいつが死んでしまうだとか、それこそもうどうにも出来ない、どうしようもない状況になったら、ゾロは迷わずサンジを斬っただろうが、今は無理にそうする場面でもないように思うのだ。
 他に何か方法があるはずだ。
 結局ゾロは小さく溜息を吐いて、剣を仕舞った。
 起きないのなら、せめて凍えを感じないように、安らかな眠りをこいつが堪能できるようにと毛布だけをきっちりかけて、ソファから腰を上げた。
 展望台の隅っこで体を丸めさせていた猫がゾロが動き出したのと同時にピクリと動いて、ゾロの足元に纏わりついてきた。
 ゾロが下に下りようとすると、猫もそうしようとするので、ゾロは猫に手を伸ばし、自分の腕の中に抱えて一緒に下に下りた。





 既にコックが朝に起きて来なくなってそれなりの日数が経ってしまっていたので、朝にナミやウソップが朝食の支度に入る光景もそろそろ見慣れてきた。
 朝食を作る分、2人はいつもより早起きらしい。
 その手伝いをするためにロビンやフランキーも早いうちに起きて来ている様子だったが、手伝いになるかと言えば微妙なところだ。
 そもそもあまり広いキッチンではないので、そのキッチンに複数入るとなると結構動きづらい。
 いつに無く早起きなゾロの姿を見つけたナミが訝しげな目を寄せた。
「サンジ君は?」
 首を振れば、それだけで伝わったらしい。
「そう。まだ寝てるのね。男部屋にいないって言うから、キッチンかしら? とも思ったんだけど、いないようだったから、あんたのところにいるんじゃないかしら・・・って」
 何だかナミが意味深なことを言ったような気がするが、今は全く気にならなかった。
 後から続々と起きてきたルフィ達が、今日もコックの飯じゃないと知ると露骨に不満そうな顔をしたが、ナミに拳骨を落とされて直ぐに大人しくなった。
 賑やかな食卓なのは変わらないが、それでもどこか1つ、灯の消えた薄暗さがある。

「で、どうするの、サンジ君?」
 コックを除いた朝食の席で単刀直入にナミがそう切り出した。
「放っておいても治るものならいいんだけど、そうじゃないみたいだし・・・」
 チョッパーが難しい顔をしているところを見ると、医学的にはどうしようも出来ないことなのかもしれない。
 ゾロの膝の上で猫が「にゃー」と鳴いた。
 皆の視線が集う。
「そう言えば、同じ首輪つけられてるのに、その子は最近起きてるわよね?」
 テーブルの上に並んでいた食事を物欲しそうに見ている猫に、ゾロは煮魚の一切れを差し出してやった。
 猫は嬉しそうにゾロの手の中にあるそれに食いつく。
 確かに相変わらず寝ていることの多い猫ではあるのだが、この猫はコック程寝ているわけではないのだ。
 単にゾロの昼寝癖に少し毛が生えた程度のものである。
「うーん、サンジより脳にかかる負担が少なかったのか、それとも首輪の効力自体が薄れかけているのか判断に迷うところだけど」
 首輪の効力が薄れているのならいい。
 だが、脳にかかる負担が少ないと言うのは、首輪をつけた奴の行動を強制させてしまう主人が、そいつにどんなことを強いたかによるのではないだろうか?
 知らなかったこととは言え、自分がコックに強いたことは、どれほどコックの意思に反したことだったのかと思うと、ゾロには立場がない。
「その脳にかかった負担を和らげることは出来ねえのか?」
 ゾロが尋ねた言葉にチョッパーが食事中だと言うのに席を立って、隣の医療室から分厚い本を抱えて戻ってきた。
「この島にある薬草にそう言う効果があるとは報告されているんだけど・・・効くかどうかは試してみないことには分からないし・・・」
 本を捲る手に淀みはないので、チョッパーも夜な夜な調べてくれていたのだろう。
 そう言えば確かにこの島特有の珍しい薬草があると言っていた。
 最初、ロビンとチョッパーはそれを獲りに行ったと言う流れでもあったはずだが、そう言えば、その薬草は結局獲って来なかったと言うことだろうか?
 不思議に思い聞いてみれば、ナミが「うふふ」と意味深な含み笑いをした。
「あのね、あんたに薬草を探しに行ったロビンとチョッパーを捜しに行かせろって言ったのはサンジ君なのよ。あんたを驚かせてやるからって、この島についた時点で段どりが組まれていて2人が薬草を探しに行ったって言うのも嘘だったの。ログが溜まったのに、この島に長く止まったのだって、あんたの誕生日に合わせてのことで全部サンジ君が・・・・・・」
「ナミ!」
 ロビンに制されてナミの口がハッとしたように止まった。
「ごめん、今の忘れて! サンジ君に口止めされてたのよ。知られたら怒られちゃう」
 怒るも何もあのコックが女相手にそうすることは決してないだろう。
 その分、俺に八つ当たりが来るのだろうが・・・。
 それにゾロは薄々そうだったのではないかと思っていた。
 他の仲間の誕生日の時もコックが1人で奮闘して同じような作戦を練っていたことを知っていたからでもある。
 なので、薬草を探しに行ったチョッパー達を、俺に捜しに行かせたのもその一貫だろうと、ゾロは直ぐに分かった。
 ただ、島にログが溜まった後も留まっていたことまで、コックが絡んでいるとは思いもしなかった。
 相変わらずバカでアホな奴だと言う感想しか、こうなるともう出て来ない。
 この島に着く前から決めていた作戦にしろ何にしろ、自分があんな状態になってまで実行する必要もなかったはずだ。
 いつも自分のことより、人のことばかり。
 それは、普段から仲の悪かった俺にまで与えられる、コックの慈愛であることに代わりはない。
「眠ってんのに起きねーんなら、キスすればいいんじゃねえか?」
 口に食べ物を一杯詰め込んでいて大人しかったルフィが行き成り横から口を挟んだ。
「あんたにしてはなかなか洒落たこと言うわね」
 突拍子もないルフィの意見だったが、解決策をなかなか見いだせない以上、ルフィの馬鹿げた一言にも頼りたいと言ったところだろうか?
 ナミの感心した表情を見て、ルフィが満面の笑顔を作った。
「この間、ロビンに読んでもらった本の中にそう言う話があったんだ。眠り続けてる奴にキスすると、そいつは目が覚めるんだ」
「俺も一緒に読んでもらったぞ!」
 チョッパーがその時のことを思い出したのか、嬉しそうに会話に割って入って来た。
 どうやらルフィもチョッパーもこの年になって、まだロビンに本を読んでもらっているらしい。
 どこのガキんちょだと呆れもするが、そう言えばコックの奴も一緒になってロビンの読み聞かせに交ざっていたような気がする。
 ロビンの声はいつ聞いても癒されるだとか、惚れ惚れするだとか・・・何だか訳の分からないことを言って、すっかり陶酔しきった緩んだ顔を見せていた。
「そう言うわけだから、あんたちょっとサンジ君にキスしてきなさいよ!」
 何がどう言うわけなのだか分からないが、ナミがゾロの背中をバンバン叩いた。
 思わず口にしていた食事を全力で噴き出しそうになり慌てて飲み下したが、見事に喉に詰まらせて咽る羽目になった。
「何よ、そんなに慌てなくても嘘に決まってるでしょ」
 あまりにも動揺しまくりのゾロにナミが冷ややかな目を向けたが、ゾロは何となくこいつは確信犯だろうと思った。
「キスでサンジの目は覚めるのか! なら俺してくる!!!!」
 ルフィが珍しく目の前の料理も放ったまま飛び出した。
「俺もするーー!!!!」
 続いたのはチョッパーだ。
 全く冗談も通じないお子様連中はこれだから困る。
 ルフィなんて19にもなりながら、相変わらず子供の心を純粋に持ったままなのだから、呆れを通り越して尊敬の域だ。
 ・・・・・・って・・・今2人は何と言った?
 暫しゾロの思考は麻痺しかけた。
 一瞬停止しようとした脳は、ジワジワと話の流れを思い出してくる。
 眠っているのに起きないならキスをすればいい。
 キスでコックの目は目覚める?
 俺、してくる?
 俺も?
「ちょっと待てえええええ!!!!!」
 ゾロは慌ててルフィとチョッパーの後を追いかけた。
 2人共勢いよく飛び出していった割にはコックがどこで眠っているのか分からなかったようで、男部屋の付近をうろちょろしている。
「なあ、ゾロ。サンジのやつどこだ?」
「知るか!!!! それよりキスで起きるって言うのは作り話だろうが! コックを怒らせたいっつーなら話は別だがな・・・」
「怒るのか、サンジ!」
「怒るだろう」
「そうか?」
「そうだ」
 ゾロの一言にルフィが露骨にシュンとしてしまう。
 大方コックを怒らせたら、もううまい飯を作ってもらえないとでも思っているのだろう。
 分かりやすい船長なのだ。
 ルフィに続いたチョッパーもどうやらコックにキスをして起こそうなどと言うバカな考えは諦めたようだった。
 しかし、この調子じゃ先が思いやられる。
 飯が冷めるぞ! と声をかければ2人共慌ててダイニングに戻っていった。
 それを見てゾロはホッと胸を撫で下ろした。
 撫で下ろして、何故自分が今安堵感を感じているのだろうかと首を傾げる。
 寝ているコックにアイツ等がキスして、コックが怒ろうが俺には何も関係ないことだ。2人がそれで飯抜きになったって、やはり俺には関係ないことのはずなのに、不思議と苛立ってそれは嫌だと感じた。
 俺は何が嫌なのだろうか?
 どうして必死になってルフィとチョッパーの行動を止めたのか?
 あいつ等がコックに怒られるのを見兼ねたせいか?
 コックが怒るのを見たくなかったからか?
 それとも、あいつ等がコックにキスをする悍ましいシーンなど想像したくなかったからか。
 ゾロはダイニングには戻らず、そのまま展望台に上がってみた。
 姿が見えないので当然なのだが、案の定コックは展望台のソファの上で身を丸めて、まだ眠っている。
 昨日起きて来たのがほとんど夕方前だったことを考えれば、今日は夕方までには起きてこない可能性だってあった。
 ゾロはもう一度サンジに「起きろ」と呼びかけ、その肩を揺らしてみたが、やはりサンジの瞼は振動1つしない。
 安らかな寝息はしつこいぐらいに続いている。
 その寝息を落とす唇に思わず目が行った。
 眠っている奴にキスをして起こす話はゾロも聞いたことがある。
 幼馴染だったクイナがよく読んでいた童話集にそう言う話があったのだ。
 クイナは普段から全然女らしさの欠片もない少女だったが、それでも女の子らしいものには憧れていたらしく、周りの同年代の女の子達がよく目にしていた少女趣味な本をやはり読んでいた。
 ゾロも何度かその話に付き合わされたことがあったのだ。
 当時はげんなりしきりだったゾロだが、今でもその時の影響が残っていて、そう言う話はあまり好きではない。
 たかが作り話の物語1つに、何が面白いのかと、思う部分もあるのだが・・・。
 しかし、どんな話や伝承にも土台となったものがあるはずだ。
 ウソップの法螺話が世界の海を渡るうちに、嘘から出た実となっていくよう、完全に嘘だと言い切れるものはこの世には無いのではないだろうか?
 ゾロはふとサンジの唇に触れてみた。
 少し乾いているような気がする。
 眠っている時間が長いせいで軽い脱水症状でも起こしているのではないだろうか?
 考えてみればこいつは寝ている間、飯すら口にしていないのだ。
 このままじゃドンドン痩せていってしまうのではないかと考えると、それはとても残念なことのように思えた。
 ただでさえ細い男なのだ。
 筋肉こそ程良くついているものの、体に腕を回した感覚は、俺と同じぐらいの背があるくせに、驚くほど薄かった。
 あまりにも細い腰をしているものだから行為が終わった後に、本当に大丈夫なのかと思ってしまうほどだった。
 そりゃ、女に比べてみたら随分としっかりした体をしている、正真正銘男のものではある。女の方がもっと壊れてしまいそうだとも思うし、実際女はもっと抱く度に気が気じゃない思いを味わう。
 だが、コックなら少々乱暴に扱ったところで壊れそうにもない。
 そう認識していたはずなのだが、それでもコックの腰は俺よりも細かったし、腕も同じだ。そして尻は小さい。
 自分よりも薄く平べったい体を何故かゾロは結構気に入っていた。
 だが、これ以上痩せてしまうと、抱き心地が悪いだろうと思わず考えた。
 考えてアホか自分は・・・と自己嫌悪に陥る。
 もう抱かないと決めたはずなのに、どうしてまたこいつを抱くこと前提で物事を考えてしまう自分がいるのだろうか。
 ゾロはサンジの唇を引っ張ってみた。
 生意気なことしか言わない煩い口は、ゾロがそうしても言葉1つ発しない。
 ただ、呼吸の感触が指に当たって、渇いた唇はほんの少し温かかった。
 唇を潤すものがこの場にはないので、吸い付いて舐めてやろうかと、ふとゾロは考えた。
 キスをすれば眠り続けている奴が起きる。
 あんな法螺話を信じているわけではないが、他の奴等が実行するぐらいなら俺がした方がマシだ。
 そこでゾロはハッとした。
 そして、漸く気付いた。
 俺は、コックの唇が俺以外の奴等に奪われてしまうのが嫌だったのだ。
 例えそれが治療の名目だと言う理由があったとしても、やはりそれは嫌だった。

 こいつは行為の最中決して目を開けなかったから、それが悔しくて何度もゾロはやっている最中にサンジの唇に吸い付いた。
 目で表情が分からない以上、口付けて思わず逃げようとする舌にコックのちょっとした拒否を感じ、そのうち戸惑い気味に絡みついてくる舌にコックの諦めを見つけた。
 唇から洩れる吐息の荒さを更に荒くさせるよう口内を蹂躙して、何度も声を出させようとした。
 それでも頑なな唇から情欲の声が漏れることもなければ、拒否や求める声があがることもなかった。

 キスをすればこいつは目を覚ますだろうか?
 俺がさっきルフィとチョッパーにそう言ったよう、怒り出して、俺を飯抜きにしようとするだろうか?
 ゾロはサンジに顔を近付ける。
 寝息は長く続いたままだ。


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